重要事項説明書を理解するための基礎知識とチェックポイント!

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2018.10.09

目次

土地や建物の不動産売買を行うときには、不動産会社の宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。
この時にもらう重要事項説明書は、法律に絡んだ言葉も多く理解しにくいものです。

重要事項説明書に記載されている項目、基礎知識、チェックポイントをご紹介します。

不動産会社について

重要事項説明書は数ページの冊子形式になっていることが多いです。最初のページには重要事項説明を行う不動産会社及びその説明を行う宅地建物取引士が記載されています。

不動産会社の立場は大きく3つあります。

売主

これは重要事項説明を行った不動産会社から土地や住宅を購入することを意味します。

媒介

仲介と言う言葉を使うと分かりやすいでしょうか。中古住宅の売買では、売主が個人になるので不動産会社は売主と買主を結ぶ媒介という立場になります。

代理

特に分譲マンションでよく見かけます。建物を作った売主が、販売は別に不動産会社に依頼するときに使われます。

不動産の表示

取引の対象になる土地や建物について記載する項目です。

日本では土地と建物は別々の不動産という認識があります。
所有権付きの分譲マンションや建売住宅の土地付きの建物の売買では、土地についてと建物についてそれぞれ記載されます。

この項目では「所在地」という言葉が出てきますが、これは私たちが普段住所として使っているものとは必ずしも同じではありません。

住所は所在地の地番をそのまま使う場合もありますが、住居表示が指定されたエリアでは住居表示が住所になります。

住居表示とは建物が多い街中などを中心に採用されています。

郵便配達がよりしやすいように、玄関の位置を基準に、区画ごとに建物に順に番号を振ったものが住居表示と呼ばれ住所として普段使われています。

どこでも住居表示があるわけではないので、指定がされていないエリアでは地番がそのまま住所になります。

住居表示地区ではない二筆(土地の数え方は筆を使います)以上の複数の地番の上に建物が1つだけ建っている場合の住所は次の2パターンがあります。

  • より多くの面積を占める地番を住所にする
  • 玄関がある場所の地番を住所にする

ちなみに住居表示や住所の管轄は登記を行う法務局ではなく、市区町村の役所です。

住居表示地区なのに間違えて登記された所在地を書いてしまっても郵便物が絶対に届かないということはありません。

また、住居表示は建物が完成しないと分かりません。

登記記録の記載事項

その不動産の所有者や抵当権の有無が分かる法務局で取得できる登記事項証明書と同じ内容が記載されます。

抵当権は所有者が銀行から住宅ローンを借りている場合などについています。

抵当権は引き渡しまでに抹消されるものです。
念のためいつ抹消されるのか確認すると良いでしょう。

法令に基づく制限の概要

建物を建築するためには、その場所によって建てられる大きさや建物の種類が決められています。

建築にも関することなので、将来の建て替えにも影響します。

個別に制限は異なりますが、代表的な制限は次の5つが挙げられます。

都市計画区域

都市計画区域内か区域外かを明記します。

都市計画区域とは簡単に言うと計画的なまちづくりをしましょうと言うエリアです。

都市計画区域内には大きく分けると市街化区域と市街化調整区域があります。

市街化区域は文字通り、積極的に建物を建てようと計画するエリアです。
逆に市街化調整区域は建物を建てないようにしようと計画するエリアです。

原則的には住宅の新築ができない地域になるので、しっかり説明を受ける必要があります。

用途地域

都市計画区域内では用途地域が定められています。

用途地域とは、場所によって建てても良い建物の種類や規模の指定をするものです。

 全部で12種類 あります。

第一種低層住居専用地域と呼ばれる一戸建てや小学校、中学校、福祉施設以外ほとんど建てられない用途地域があります。

一方で商業地域は、ほとんどの施設が建てられます。
一戸建てばかりがある場所もありますし、高いビルばかり経っている場所があるのは用途地域が違うためです。

購入する不動産の用途地域はもちろん大事なのですが、住んでからは隣地の用途地域の方が大事になります。

なぜなら用途地域によって建てられる建物の種類が決まるため、将来的に隣地の建物がどんなものに変わる可能性があるか分かるからです。

用途地域はネットでお住まいの「市区町村+用途地域」と検索すると色分けされた地図が見られます。

地域・地区・街区

よくあるのは都市部の防火地域や準防火地域です。建物の大きさに応じて耐火建築物や準耐火建築物にしなければならない規制があります。

他には高度利用地区といわれる小さい建物を抑制して土地の有効活用を進める規制もあります。

建ぺい率と容積率

建ぺい率は土地の面積に対して、建てることのできる上限の建築面積を表します。例えば建ぺい率が60%の場所であれば、100平米の土地に対して、1階の広さは60平米まで作ることができます。

容積率は土地の面積に対して各階のすべての床面積の合計の上限を表します。容積率が200%の場所であれば、100平米の土地に対して各階の合計床面積が200平米まで作ることができます。

この建ぺい率や容積率と言われるものは、あらかじめ定められたものに加えて、大通りに面していたり角地に面していたりすると規制の緩和を受けることができます。

建築物の高さ

高さの制限は高い建物が建ってしまうと周辺の風通しや採光が悪くなってしまうために設けられています。

10m、12m、31m、45mのようにはっきり制限の数字が決まっていることもありますし、周辺への影の落ち方で決まってくる高さの限度もあります。

起点から建物の角に斜めに線を引いて、それ以内に建物を収めなければならない斜線制限というものがあります。

斜線制限は、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側車線制限があります。

マンションなどで中層階までは真四角なのに、高層階の部屋だけが階段のように段々と削り取られているマンションがあります。

これは斜線制限にかからないようにしているのです。

上記以外にもさまざまな決まりごとが…

住宅を建てる際、上記で紹介したもの以外にもさまざまな決まりごとがあります。

敷地と道路の関係、私道の負担に関する事項

住宅を建てるためには敷地の2m以上が道路と接していなければなりません。

また、売買の対象となっている土地の一部が私道であると、その区域には建物が建てられません。私道の維持管理のための負担金などないかを記載する項目です。

間口が狭すぎたり、接道していないなどで世の中には建物が建てられない土地が存在するのです。

インフラの状況

水道、電気、ガス、下水道の整備状況です。
整備されていない場合は整備の予定や買主の負担金の有無も記載されます。

工事完了時における形状、構造

不動産の取引では未完成の土地や建物でも売買ができます。
しかし未完成の場合は直接確認することができないので、パンフレットや図面を使い仕上がりについて説明します。

マンションの場合の説明事項

マンションの売買の場合には、管理規約や共用部分と専有部分の定め、管理費や修繕積立金について説明します。
重要事項説明書中では要点を記載して詳細は別途、管理規約や長期修繕計画案が渡されます。

敷地に関する権利

敷地に関する権利は大きく所有権と借地権に分かれます。
所有の場合は固定資産税を借地の場合は地主へ地代を払うことになります。

分譲マンションの場合は敷地に関しては、専有部分の床面積の割合に応じて、広い住戸ほど権利が大きくなります。

共用部分に関する規約の定め

マンションでは部屋の中以外は基本的に全て共用部分になります。
共用部分も敷地と同じく権利をそれぞれの所有者が持っています。

専有部分の用途や利用の制限に関する規約の定め

専有部分はマンションの部屋の中という意味で、共用部分と違い所有者が自由に使用することができます。
しかしマンションで生活するためにはすべてが自由と言うわけではありません。

よくある制限としては居住専用で事務所としての使用が不可、ペットの飼育の制限、遮音性能の劣る床材の張り替えの制限があります。

専用使用権に関する規約の定め

専有部分である部屋の中以外は共用部分であり独占して自由に使うことができません。
しかし専用使用権と言われる部分に関しては、その権利がある所有者が使用できます。

具体的には専用庭やバルコニーです。

専用使用権の中には専用使用料として駐車場料金や専用庭の使用料がかかるものがあります。

管理費や修繕積立金

管理費は日常の管理で必要な費用として、一定で変わることはありません。

修繕積立金は築年数に応じて負担が増えていくタイプと何年かに1度、一時金として数十万を徴収するタイプに分かれます。

中古マンションを購入する場合は売主に当たる前の所有者が管理費や修繕積立金を滞納している場合、新しい所有者に滞納分の支払いが求められます。

管理の委託先

分譲マンションの多くは管理会社に管理業務を委託しています。
この項目では管理会社の名前と委託している内容が記載されます。

さらに詳しく知りたい方はこちら

災害や物件の性能に関する項目

土地が災害の恐れがあるエリアではないかや、耐震診断がされているかが説明されます。

造成宅地防災区域

造成宅地というのは土地を切り開いて作ったような場所が指定されることがあります。土地を削ったり盛ったりした宅地は崩れる可能性があるからです。
所有者は崩れないように擁壁の設置や維持管理に努める必要があります。

土砂災害警戒区域

土砂災害が起こる可能性がある場所で指定されるケースがあります。

詳細は土砂災害警戒区域の家を売ることは可能?指定されるとどうなる?で詳しく説明しています。

津波災害警戒区域

近年追加された項目です。

沿岸部は津波災害の可能性があると指定されていることがあります。
警戒区域内では住宅の建築にも制限があります。

住宅性能評価

住宅性能評価制度と言う第三者機関による住宅の評価書が交付されている場合は説明します。

建設部門と設計部門の2種類があります。
項目ごとに等級がつけられているもので、住宅の耐震性や断熱性など性能がわかりやすくなっています。

石綿の使用調査

石綿の使用調査が義務化されていると言うことではなく、使用の有無の調査結果があるか否かを記載することが義務付けられています。
現在は石綿の使用は禁止されています。

耐震診断

現在の耐震基準は昭和56年に改正されたものです。
この項目も調査が義務付けられているものではありませんが、調査結果の有無を記載することが義務付けられました。

売買代金以外に授受される金銭

手付金や権利金、消費税等がここに当たります。中古住宅の売買で仲介手数料がかかる場合はここに明記されます。

意外なことに重要事項説明書に記載しなければならない項目の中に売買価格はありません。

重要事項説明書は売買契約書を締結するよりも前に交付するものと決まっているので、契約の前段階の説明という位置づけなのです。

もっとも、重要事項説明書は最低限の項目をクリアすれば、書式は自由で他に項目を増やすことはできるので、実際には重要事項説明書にも売買価格を記載している事もあります。

契約の解除

契約を結ぶと解除することができません。

しかし相手方が契約の履行に着手する前であれば、契約の解除ができるよう記載しています。

一般的には買主からの解除には手付金の放棄、売主からの契約の解除は手付金の倍額を返金することと書かれています。

損害賠償額の予定

契約違反により損害賠償が発生したときの損害賠償額をあらかじめ決めておきます。
これは売主と買主双方の損害賠償の予定額を定めます。一般的には売買代金の2割までとされます。

手付金等の保全措置

手付金は物件の引き渡しが行われるよりも前に払うお金のため、不動産会社が倒産して引き渡しが行われなかったときのリスクがあります。

売主が不動産会社の場合は多額の手付金を払う場合は、不動産会社は保全措置を講じなければなりません。

銀行と保証契約を結んだり、保険契約により手付金の保全を行います。

未完成物件の場合は売買代金の5%または1,000万円を超える手付金、完成物件の場合は売買代金の10%または1,000万円を超える手付金を受け取るときは必ず業者は保全措置を講じなければならないと定められています。

支払金又は預り金の保全措置

物件の引き渡しまでには手付金の他にも諸経費や権利金等を払うことがあります。
手付金とは違い保全措置の義務はありませんが、保全措置の有無が説明事項とされています。

金銭の貸借の斡旋

不動産会社が住宅ローンの紹介や審査の手続きをすることが多いため、保証料や返済期間、金利などの説明があります。

この項目には「金銭の貸借が成立しないときの措置」という特約が付けられます。

ローン特約と呼ばれるものです。

これは住宅ローンを検討している人は重要事項説明書の中で重要度が高い特約です。
 住宅ローンの審査が通らなかったとき、購入することはできなくなります。 

そういった場合は買主・売主双方のために、手付金等は返却して契約を白紙にしますというものです。
この場合は損害賠償も発生しません。

その他の事項

供託所について

宅地建物取引業を行っている会社は、規模に応じて一定のお金を預けなければ、営業することができません。
この預けたお金は消費者が不動産取引で損害を被った場合に、補填するために当てられます。

営業保証金を供託所(法務局)へ預けるか、宅地建物取引業保証協会に加入しているので、その供託所や保証協会の名称や所在地がここに書かれます。

担保責任について

当該宅地や建物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合、その不適合を担保すべき責任(契約不適合責任)の履行に関する措置の概要について記載します。

2020年4月から施行された瑕疵担保責任に変わる規定で、細かく取り決めを行っておかないと思いもよらぬトラブルに巻き込まれる可能性があるため注意が必要です。

瑕疵担保責任同様、任意規定のため買主が了承すれば売主の責任を免責とすることもできます。

また、宅地建物取引業者は倒産しても一定の担保責任を負うことができるよう保険に加入しています。

以上の項目が重要事項説明書に最低限記載しなければならない項目です。

その他

  • 近隣との敷地境界の越境物
  • 周辺の建物の臭気や音
  • 地中埋設物
  • 高圧電線
  • 自殺や火事のような心理的瑕疵

その他の項目は引き渡し後に大きな問題になる事項を予め説明しているので、重要事項説明書の中でも特に確認を念入りにしたい項目です。

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宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

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