これはヤバイ!レオパレス21の度重なる施工不良で思うこと

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2019.02.08

目次

2018年4月に界壁(かいへき)未設置による施工不良の問題が発覚したレオパレス21。

対応に追われている最中の2019年2月7日にあらたな不備が発見され、世間や株式市場を騒がせています。

建築と不動産業に携わっている筆者だから分かることや思うことを書きます。

そもそもレオパレス21ってどんな会社?

女優の広瀬すずさんのコマーシャルで目にしたことのある方も多い「レオパレス21」。

1973年に前身の会社が設立されてから今日に至るまで不動産業を生業としており、建築や介護、リゾート事業なども手掛けています。

現在東京都中野区に本社をおき、東証1部上場の大手不動産会社としての地位を築いてきました。

レオパレスでは、オーナーさんの土地にアパートやマンションなどレオパレスシリーズの物件を建設(もちろんオーナーさんのお金で)し、空室であろうとレオパレスが入居者の賃料を保証し、転貸を目的とした一括借上げシステムで収益を上げてきました。

このシステムだと儲からないのでは?と思うかもしれませんが、もともと入居者が支払う賃料とレオパレスがオーナーさんへ保証する賃料の差額が利益になりますし、より利益がでるように2年毎に保証賃料の更新(見直し)※1があります。

また入居者契約時の礼金や更新料の取得、入居者退室後の現状復旧や外壁リフォームの工事代金に自社利益をのせるなど、人のふんどしで相撲がとれる実入りのいい商売なのです。

※1 以前は契約書面でオーナーへ内容を説明せず、更新時にトラブルが多発し社会問題となったため、現在では一括借り上げの契約時に賃料変動に関しての説明を義務化。

新たな不備発表までの経緯

2018年4月に界壁不備の問題が発覚しました。

界壁とはアパートなどの共同住宅における住戸間の仕切り壁のことをいい、火災時の延焼防止や遮音が目的で小屋裏または天井裏まで達していなければなりません。

問題になっているレオパレス施工物件では、界壁が小屋裏や天井裏まで達しておらず、建築基準法に違反の疑いのあるものがあり、調査および補修工事をすすめている状況でした。

火災時に屋根裏が空洞の場合、延焼スピードが変わることは容易に想像がつきます。

利益を追求して安全を軽視した、人命に関わる本当に許せない問題です。

2019年1月31日同社にて優先調査をすすめているネイルシリーズでは調査進捗率99.01%、6シリーズでは同90.93%を報告しました。

ところが全棟調査をすすめているなかで、2019年2月7日新たに界壁の部材、外壁の部材、天井部施工の問題を公表したのです。

いずれも耐火性能や遮音性能など建築基準法の基準を満たしていない違反建築にあたります。

同日の記者会見で深山英世社長をはじめ経営陣が謝罪をおこないました。

今後の対応として、改修工事対象物件入居者の転居要請や物件のオーナーさんに対しては、入居者不在の期間賃料を補償すると発表しました。

また、レオパレス社の費用負担で最終的に1万4,443人に転居を促すそうです。
(不動産業界は現在繁忙期まっただなかで、全入居者がうまく転居できるのか?そして補償も限定的で不透明すぎますが…。)

なぜこのタイミングで?不可解な謝罪会見

2017年年末にテレビ東京の「ガイアの夜明け」で初めて「レオパレス21」の特集が組まれ家賃保証の実態に迫る内容が放送され、大きな反響を呼びました。

2018年5月の2回目の放送では界壁不備問題が取り上げられました。

そして今回2019年2月5日界壁不備問題の追跡取材が放送されました。

岐阜市の界壁不備物件では調査はもちろん、物件のオーナーさんに対してレオパレス社から一切の謝罪もないというものであったり、千葉県流山市で4棟のオーナーさんには「社内基準で補修の必要なし」と通知がきたが、実際界壁は隙間だらけという有り様でした。
(その後流山市のオーナーには、2019年1月末に正しい報告書が届いた)

この他にもレオパレス社を相手取って集団訴訟を提起している方の証言や経営陣のついているウソや矛盾点を放送するなど、かなり切り込んだ内容になっていました。

これを見た視聴者などによって投稿されたSNSで情報が拡散し、隠しきれない新たな問題を含めて緊急会見に追い込まれたものと推測されます。

また今回の番組の最後に取材を継続し次回放送を予告している点も秀逸です。

しかしガイアの夜明けの取材力は凄いですね。

以前に特集されたスルガ銀行の不正融資も大問題になりましたし、民放のテレビ番組でここまでやるのは純粋に凄いと思います。

レオパレス物件に関わったから分かるココだけの話

筆者である金井はレオパレスの物件内に何十回と入ったことがありますが、鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、はるかにチープな建物という印象を持ちました。

レオパレス物件は鉄骨(軽量)や木造のものが多く、一時期爆発的に増えた横縞模様の外装が大きな特徴です。

壁や天井が薄いので上下左右のお部屋に人の気配を感じれます。

家具付きのお部屋などもありましたが、それらも安定のチープ仕様です。

ここでひとつお部屋選びのポイントとしてお伝えしたいことは、建物の構造はとても大事だということです。

やはり鉄筋コンクリート造は防音や断熱、耐震性に優れています。

今まで鉄筋コンクリート造のマンションに住んでいたという方は木造アパートへの住み替えはオススメできません。(軽量鉄骨のアパートもさほど変わりません)

振動はもちろん他人の音が聞こえすぎてしまったり、自分では気づかないで音を出してしまっていたりしてトラブルの元になるからです。

また、金井が以前在籍していた建設会社で、レオパレスの物件を建てたことのある現場監督に話を聞いたことがありますが、「でっかいプラモデルを組み立てる感覚で、とにかく工期も予算もなかった」と話していたことがとても印象に残っています。

確かに工場で大量生産された材料が運ばれてきて、現場でクレーンを使って建物を組み立てるのは、大工さんの仕事というよりも工作に近いかもしれません。

工期を短縮すれば人件費が少なく済みますので、もちろん利益も上がります。

そんな利益至上主義のレオパレスですから受注金額も安かったようで、ほとんど儲からなかったため数棟施工して、すぐに取引を辞めたことはいうまでもありません。

これだけはいえる!業界全体から見れば氷山の一角に過ぎない

今後も叩けばいくらでもホコリがでそうな「レオパレス21」。

レオパレスからリリースされた新たな不備の発生原因には、「作業効率向上」や「誤認」、「関係部署の情報共有が図れていなかった」と弁明がありました。

はっきりいって真っ黒です。

組織ぐるみでの隠蔽や工期の短縮、利益の追求のため原価を抑えていたことが透けてみえます。

しかし不動産業界、建設業界全体で見れば氷山の一角に過ぎないと断言できます。

管理体制がなされていなかったレオパレスに落ち度はもちろんありますが、レオパレス一社だけが今回の施工不良をしていたとは到底考えられません。

耐震偽装や杭工事データ改ざん、免震装置データ改ざんなど日常的に問題が公表されます。

あとから他社でも同様のニュースがリリースされてもおかしくないでしょう。

レオパレス社は今後不備物件のオーナーさんや入居者に対して補償を表明していますが、経営が先すぼみの状況で補償がいつまで続けられるのか疑問が残ります。

レオパレス物件を売りたいオーナーさん必見!家を売る基本5ステップ+α

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最後に、皮肉たっぷりに語られているレオパレスあるあるをTwitterで見つけましたので引用しておきます(さすがに誇張されすぎですが…)。

【続編はコチラ】

金井

生まれも育ちも仕事も大好きな横浜で人生の大半を過ごす。 地場の建設会社にて施工管理を学ぶ(某有名人宅の新築工事に工事主任として1年間従事)。 同社で不動産の営業、企画にも携わる。 その後、大手不動産会社へ転職し管理と仲介営業を経て2017年に不動産会社を起業。 保有資格:宅地建物取引士、二級建築施工管理技士

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“これはヤバイ!レオパレス21の度重なる施工不良で思うこと” への 2 件のフィードバック

  1. 匿名 より:

    壁どんしたら穴開くのはマジ。反対が外壁だから貫通はしてないけどどうしようかと頭悩ませる今日この頃。

  2. 金井 より:

    コメントありがとうございます。
    「レオパレス伝説」は事実なのですね。
    退室時に納得がいかない現状回復費用を請求されたときは、通常使用で対抗してみてください!

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