事故物件の見分け方完全マニュアル!不動産業者のリアルな現場体験記もあわせてどうぞ

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2019.05.27

目次

「事故物件」と聞いてアナタはその家に住むことができますか?

近くにあるだけでも嫌という人や、賃料や価格が安ければ全く気にならない人もいるかもしれません。

ここでは事故物件の広義から事故物件を回避する方法、現役不動産屋である筆者金井の事故物件入室体験記【閲覧注意】までリアルな情報を紹介します。

そもそも事故物件とは?

事故物件とは過去に殺人や自殺、孤独死や人が亡くなった火災など人の命がその場所で自然ではない形で失われるという事故があった物件(土地や建物)を指すことが多いです。

広い意味では近隣に嫌悪施設(暴力団事務所や火葬場などの人から嫌われたり、公害を発生する恐れがある施設など)があるような不動産も事故物件に含まれる場合があります。

要するに事故物件は心理的瑕疵(※詳細)に該当するため、不動産業者は物件の取引に当たり、そのことがらを買主や借主が知ることで心理的に抵抗がある場合、告知をしなさいという取り決めです。

しかしながら「事故物件」に明確な基準はありません。

例えば住人が病気で倒れて自室で亡くなった場合、事故物件として募集および告知する不動産業者もありますし、事件性がない自然死だから事故物件にならないと判断する不動産業者も存在するのです。

また人の出入りが激しい都市部と出入りがすくない地方では、事件や事故の風化が違い、農山村地帯で起きた凄惨な殺人事件では50年を経ても説明すべき瑕疵にあたるとされた判例があります。

不動産業者は宅地建物取引業法で決められている、重要事項説明の中で事故物件の心理的瑕疵についての告知をしなかったことを理由に、売買や賃貸借契約が無効になったり、損害賠償を請求されたりしないようにするため、消費者へ告知をしているのです。

このため事件や事故から何年経過したかや何人の人が入れ替わったかなど、おおむね裁判の判例や取引通例から「事故物件」の告知をするかしないか業者毎に判断しているのが現状です。

事故物件を回避する方法

一定数のニーズがあるため、最近では事故物件を積極的に紹介する会社も存在します。

けれども霊感が強い人や、そういった類がどうしても苦手な人は事故物件を回避したいハズです。

ここでは事故物件を回避する方法を紹介します。

不動産業者へ確認する

販売図面や募集図面に「告知事項あり」と記載されていた場合は、事故物件である可能性が高いと言えます。

また事故物件は近隣相場に比べて価格が安かったり、賃料が安かったりします。

気になることは直接不動産業者へ確認しましょう。

不動産業者には重要事項の告知義務がありますし、契約後にトラブルとなることは避けたいので、たとえ事故物件に該当しない物件であっても、過去に何かあった場合や近隣であったニュースなど知っている情報は開示してくれます。

不自然なリフォーム

賃貸物件では入居者の入れ替えが発生した場合、原状回復や設備の更新などのリフォームを行います。

ローンの返済が終わっているなどの特別な事情がない限り、多くの大家さんはリフォーム費用を極力抑えたいのが本音です。

けれどもクロスに血しぶきが飛んでいたり、床に血痕が残っているような事故物件の場合、リフォームをしない訳にはいきません。

こういった懐事情から、全ての物件が該当するわけではありませんが、他の部分は古いままなのにクロスの一室や一面だけが貼替られていたり、フローリングが張替られていたり、ユニットバスだけ新しくなっていたりといった不自然なリフォームが見られると事故物件の可能性があります。

内見の際はリフォーム箇所をチェックして、仲介業者に確認をとるようにしましょう。

事故物件公示サイト「大島てる」の利用

「大島てる」は2005年に開設された事故物件の情報サイトです。

殺人や自殺、人が亡くなった火災や孤独死などがあった事故物件の場合、サイトの地図上で炎が上がっています。

炎をクリックすると、事故や事件のあった日時、住所、死因、当該物件の写真などを見ることが可能です。

ただし事故物件の情報全てが網羅されている訳ではありませんが、事故物件が嫌な人であったり近隣を通りたくない人には居住地選びの参考になるでしょう。

【参考】大島てるホームページ 2017年の座間9遺体事件物件情報
http://www.oshimaland.co.jp/?p=tq7hlgyw

【閲覧注意!】事故物件入室体験記

ここから先はリアルな事故物件の体験記です。

食事中の人や心臓の弱い人は読むことをオススメしません。

あれは2014年の冬。

筆者の金井が不動産の賃貸管理会社に在籍していた時のことです。

ある入居者の父親から突然会社に連絡がありました。

…息子が部屋で亡くなった。

その物件の担当だった私は当然、諸々の確認や事後処理を行わなくてはいけません。

転職後で経験も浅かった当時の私は初めての出来事に戸惑うばかりでした。

その物件の入居者は、30代前半の男性で死因は心不全。

ご家族の方が入居者と連絡がとれないため、部屋に確認に行かれたところ、すでに死後一週間という状態で発見されたそうです。

遺体は警察によって搬出され、遺品は遺族の方々が整理していきました。

そこからが、管理会社の出番となるわけです。

父親から部屋の鍵を引き渡してもらい現況確認をしなければなりません。

先輩や上司からは常々話を聞いていたので覚悟はしていたのですが、入室した際の衝撃は今でも脳裏に刻み込まれています。

当日…
トビラを開けた瞬間、独特な臭いが鼻を突きました。

一言でいえば死臭です。

私の稚拙な文章では表現が難しいのですが、腐敗臭や排泄物の臭いとは違った、一度嗅いだら忘れることのできない強烈な臭いです。

よく、染みついたらシャワーを浴びてもとれないと言われていますが、実際その強烈なにおいは鼻に残ってしまい、翌日になってもまだその臭いがしているような感覚に陥りました。

そして、視覚的に強烈なものが床に残る遺体の痕跡。

入居者が亡くなったのは冬だったのですが、暖房が付いたまま亡くなっていたため腐敗が進み、遺体から流れ出た体液がシミとなって床に残ってしまっていたのです。

毛髪も束になって、シミと一緒に固まっていました。

毛髪は遺体から頭皮とともに剥がれ落ちてしまうため残りやすいのです。

私はその日まで病院や葬儀場でキレイな遺体としか、死というものに触れてきていなかったため免疫がありません。

人がそのような状態になってしまうという事実に、仕事を忘れて恐怖に震えてしまったことを覚えています。

床はクッションフロアー(CF)というフローリング調のシートが貼られていたのですが、下地のベニヤ板まで体液は浸透してしまっており、すべて交換しなければなりませんでした。

それでも鉄筋コンクリート造マンション1階の角部屋であったため、階下への影響はなく被害は最小限で済みました。

人というのはしばらくその環境にいると慣れるもので、仕事としてやらねばならないことを心を無にして進めていきます。

ワンルームだったのですが、死臭をとるために特殊清掃を入れ、天井・壁のクロスを貼替、床の交換と大規模なリフォームが必要となり、高額な費用が発生しました。

本来、賃貸住宅での死亡事故による原状回復工事費用は、入居者の連帯保証人もしくは保証会社などが負担します。

また身よりがない入居者の場合は、オーナーが負担するケースもありますが、今ではオーナー向けの孤独死等の原状回復費用をカバーする保険商品もあります。

この時はご遺族から全額負担の申し出により、そのまま負担いただく形を取ることになりました。

支払いを拒否されてもめるケースもあるので、家族関係だけは大事にしようと思い知らされたところでもあります。

原状回復工事が終わった部屋は、特殊な消臭機器を使用しているため臭いはないですし、見える部分はリフォームされているため、とてもキレイになり、まさかここで事故があったとは素人ではわからない状態になります。

法務部署や上長に確認したところ、事件性のない自然死だったため「事故物件」として入居者の募集はせず、賃料も近隣相場並みでした。

イチ会社員であった私は、会社の方針に従うまでだったのですが、その後もリフォームのチェックをしたり、鍵の交換のため一人でこの事故物件を度々訪れましたが、正直ここに入居希望する人へ本当に告知しなくていいのだろうか?と複雑な思いをモンモンと感じながら仕事をしていたことを覚えています。

そんな思いとは裏腹に、元々人気のある物件であったその部屋は新しい入居者がすぐ決まりました。

当時この物件の情報は「大島てる」に上がっていませんでしたが、亡くなってから2年ほど経過すると不思議と情報が投稿されていました。

それを見つけた際に感じたこととして、告知をしなかったことに対する思いが晴れたという自己満足なところと、当時の悲壮なご遺族の表情までが浮かんできて、こんなところで息子の死をさらしてしまって本当にいいのだろうかという気持ちが半々で…

やっぱり複雑な思いです。

ただし、入居する側には「大島てる」が便利なツールであることには間違いありません。

私は情報を知っていれば、入居しないであろう「隠れ事故物件」が世の中にはたくさん存在していると確信しています。

仮に隠れ事故物件を掴まされてしまった人は「もしも物件で人が亡くなっていたことを知っていれば、契約しなかった」と仲介業者へ申出ることをオススメします。

告知をしなかった業者に過失があるため、何らかの対応をしてくれるハズです。

金井

生まれも育ちも仕事も大好きな横浜で人生の大半を過ごす。 地場の建設会社にて施工管理を学ぶ(某有名人宅の新築工事に工事主任として1年間従事)。 同社で不動産の営業、企画にも携わる。 その後、大手不動産会社へ転職し管理と仲介営業を経て2017年に不動産会社を起業。 保有資格:宅地建物取引士、二級建築施工管理技士

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