目次
重要事項調査報告書とは、マンションの売買の時に使われるそのマンションの情報が細かく書かれているものです。
この重要事項調査報告書では、マンションの管理の仕方や修繕の状態、滞納問題まで見えるようになっています。
売買に関わった当事者が後々トラブルにならないようにするためにも、重要事項調査報告書をチェックしておきましょう。
重要事項調査報告書とは?
そのマンションの管理に関しての説明書のようなものです。
マンションの決まりは管理規約がありますが、それだけでは分からない情報や、管理規約の中でも駐車場や駐輪場など日常生活に影響してくる部分がまとめられています。
売買する住戸にはなんの問題もなくても、マンション全体では問題を抱えていることがあり、そういったことが分かる資料でもあります。
また、一点覚えておきたいのが、売買契約の前の重要事項説明書とは異なります。
重要事項説明書は、売買契約を行う前に必須のもので、売買不動産についての情報も記載され、重なるところもありますが、あくまで売買契約に対しての説明書であり、重要事項調査報告書の管理に関しての説明書とは性質が異なります。
仲介会社は、管理会社から得た重要事項調査報告書の情報を元に重要事項説明書を作りますので、マンションの売買は、ある意味、重要事項調査報告書から始まるようなものです。
取得する方法
重要事項調査報告書は管理会社から発行してもらえます。
多くは、売主の仲介会社が売買をするマンションの管理会社に依頼します。
管理会社は仲介会社から発行手数料を振り込んでもらってから、数日から1週間程度で発行する形をとっています。
発行手数料は、管理会社が任意に決めているので、会社によって金額がまったく異なります。
安いところは3,000円程度のところもありますが、大手管理会社では1万円を超えるところもあります。
管理規約も求める場合は、重要事項調査報告書発行手数料と別に手数料が発生します。
管理会社もそれなりに手間のかかる書類のため、手数料の発生はやむを得ず、即日発効というわけにはいきません。
また重要事項調査報告書は、家を売る側のマンション所有者が取得することも可能です。
記載されている項目
管理に関しての説明書のため、管理規約を見ても分かる項目もありますが、規約の中でも特に重要な部分がまとめられていると考えれば良いでしょう。
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チェックするべき項目
購入するときに知っておくべき、また売却するときに知らせるべきポイントは次のような点です。
売買される住戸について
売買の対象になっている住戸の管理費と修繕積立金の額が記載されます。
ルーフバルコニーや専用庭使用料がある場合もです。
ここで注意したいのが、売買する住戸で滞納があった場合です。
滞納額はそのまま新所有者に引き継がれます。
滞納がある住戸はそれを分かった上で、業者が買取と滞納額を清算し、転売になることがほとんどなので、この時はトラブルにはなりませんが、個人が購入者の場合はトラブルの原因になります。
管理費や修繕積立金の改定予定
管理費や修繕積立金は総会で決議を取り、値上げを行います。
ある日突然値上げはされませんが、検討段階であることや、すでに総会で値上げが決定済みで数か月先に予定されている場合は、この項目で確認します。
最近では消費税の増税の影響は管理費に出る場合がありますので、注意したい項目です。
マンション全体の修繕積立金の残高
大規模修繕工事の原資となる修繕積立金の残高は、よく分からなくても見ておきましょう。
目安として、大規模修繕工事の直前であれば、総戸数×100万円程度の残高は欲しいところです。
もちろん、大規模修繕工事の完工直後であれば、それだけの金額が支出されていますので、残高が少なくても問題ありません。
あまりに残高が少ないと、修繕積立金の値上げや一時金の徴収の話が今後出ないとも限りません。
大規模修繕工事の実施時期や直近の予定は後述する修繕工事についての項目でも知ることができます。
マンションの借入金状況
数千万の工事が重なると一気に資金不足に陥るため、借り入れをしている管理組合も中にはあります。
借り入れ自体は悪いことではありませんが、使用用途がどのようなものであったのか、今後の修繕積立金の計画は適切なのか判断する材料になります。
マンション全体の滞納問題
まったく滞納問題がないマンションもありますし、何件もの滞納問題を抱えたマンションまで様々です。
管理規約では、滞納者に対しては駐車場の使用制限や、督促・法的措置を行うことなど対策が定められていることもありますが、滞納に悩むマンションは珍しくありません。
滞納額が多いと修繕積立金が計画的に溜まらず、管理費を未払いということは、他の所有者が負担を肩代わりしているということになります。
修繕工事について
築年数が20年を超えてくると、設備的にも寿命が近いものが増えます。
給排水管の更新工事やエレベーター更新工事など大きな工事が終わっていると、多額の支出が今後はあまりないと判断できますし、今後の予定が決まっていれば、一時金や借入の必要があるのか記載されています。
専用使用権について
マンションでは各住戸の中以外は、専用使用権を有しているので、使用できるという考え方です。
駐車場・駐輪場・バイク置き場にはだいたいどこのマンションでも使用料がかかりますね。
月額の使用料はもちろん、一世帯当たりの使用台数の制限の有無、空き状況、売買によって現在の区画が承継できるのかなどが書かれます。
特にマンションによっては駐輪場が自転車で溢れている場合は、使用台数の制限があったり、駐車場が足りていない状況であれば空き待ちをしている人が優先で、新所有者に駐車場を引き継げないこともあります。
駐車場などの最新の空き情報や確保ができるのかは、この項目で押さえましょう。
専有部分の用途制限について
多くの分譲マンションは居住用なので、店舗や事務所使用不可との記載がされることがあるのがこの項目です。
購入動機が事務所使用目的の時は、ここで抵触しないか確認できます。
また、最近では民泊について使用ができないことを定めたマンションも多くなりました。
ペットの飼育について
新築マンションでは、頭数や大きさなど条件を定めて、ペット飼育が可のマンションがスタンダードですが、築年数が古くなれば、まだまだペット禁止のマンションは多くあります。
リフォーム工事について
事前に管理組合に届け出る必要があることが多いです。
床材には遮音性能の規定を設けていることもあります。
重要事項調査報告書では、リフォームの規定を網羅していないので、詳しい制限は管理規約で確認するのが良いでしょう。
楽器の演奏について
禁止なのか制限の有無、制限があるときは夜から朝の特定の時間帯は楽器の演奏が禁止など、記載されています。
アスベストの使用の調査結果や耐震診断の有無
売買契約の重要事項説明書にも書かれていますが、調査結果があるかについてです。
耐震診断は新耐震基準のマンションでは、ほとんどないと思っていいでしょう。
旧耐震診断基準のマンションでも、きちんとした耐震診断をしようと思ったら多額の費用も掛かりますから、診断を行っていないことがほとんどです。
実情は、耐震診断の結果があるマンションの方が少ないです。
火災や雨漏り、心理的瑕疵、マンション内トラブル
こちらも売買の重要事項説明書と重なりますが、自殺などの心理的瑕疵や火事、水害、漏水事故など買主が知りたいと思われる項目です。
この項目は管理組合が把握している情報が記載されるので、有か無の他に不明と記載されている場合もあります。
インターネットやBS,CSについて
BSやCSのアンテナがマンションにあるのか、インターネットの線は何が引き込まれているのかという点が確認できます。
マンションでは、インターネットの会社やテレビの視聴方法がある程度決まってくるため、こういった項目があります。
重要事項調査報告書でなんでもわかる
基本的な買主が知りたい情報が詰まっているのが重要事項調査報告書でした。
マンションの売買では、駐車場が実はなかった、ペットが飼えると思っていたのに違ったなど、住戸自体の問題ではなく、マンションのルールに関して聞いていたのと違うというようなトラブルは解決が難しくなります。
重要事項調査報告書の内容を確認して、間違いのない売買がしたいものですね。
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soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |
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