大規模修繕工事とは?修繕積立金の値上げと売却のタイミングとは?

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2019.01.07

目次

大規模修繕工事とは、マンションで12年〜15年間隔で行われる足場を設置する大掛かりな修繕工事のこと。

総工費は数千万から、世帯数の多いマンションであれば億を超える工事です。

毎月の修繕積立金で工事費は賄いますが、多くのマンションで不足傾向であることが分かっています。

修繕積立金の値上げは、マンション売却にどんな影響を与えるのか説明します。

大規模修繕工事とは?

コンクリート造りのマンション寿命は50年から70年です。

マンションでは12年から15年間隔で、足場を掛けて大きな修繕工事を行います。

新築から数年では、見た目にも劣化はそれほどなく問題ありませんが、10年も経つとコンクリートのヒビや雨だれの跡のように明らかに劣化が見られるようになります。

外壁や屋根に施される防水処理も保証期間は10年間で、劣化してしまうと室内へ雨漏りを引き起こしたりしますので、10年以上経ったら、大規模修繕工事の際にやり直すのが望ましいといえます。

タイル張りのマンションは洗浄を行い、塗装の場合は全体を塗り直しますので、美観も向上します。

修繕積立金への影響は?

大規模修繕工事の原資は、マンションの所有者から毎月徴収する修繕積立金です。

修繕工事の中でも大規模修繕工事は金額が高額になることから、何年も前から計画的に修繕積立金が集まっていないと簡単に資金不足になってしまいます。

大規模修繕工事の工事費用は、国土交通省のマンション大規模修繕工事に関する実態調査によれば、世帯1戸あたり100万円前後が平均値です。

世帯数50戸のマンションであれば、5,000万円前後で100戸以上あるマンションであれば、一回の大規模修繕工事で1億以上の費用がかかるのです。

しかも回数を重ねる毎に工事内容も増え、金額が高くなります。

修繕積立金の金額の根拠は、長期修繕計画と言われる将来の30年前後先までの工事の予定時期や概算金額を計画したものです。

この計画を立てることによって来年や再来年には大きな工事がなくても何十年も先には大きな工事があり、多額の修繕積立金が必要となるのが見えてくるのです。

修繕積立金が不足する場合の管理組合の選択肢としては大きく3つあります。

  • 管理組合として借り入れをして賄う
  • 修繕積立金の不足部分を一時金として徴収する
  • 工事を先延ばしにする

築年数が古くなるほど修繕工事が多くなり費用もかさむため、借り入れをしたり先延ばしにしたとしても根本的に修繕積立金の金額が足りない場合は、値上げを検討することになります。

値上げはマンションの管理組合での総会決議の手順を踏むことになります。

所有者の中でも反対が多数となれば、修繕積立金が値上げされないこともありますが、資金が足りていないのに放置されてしまうのも問題です。

築年数が古いほど、所有者の年齢が上がり、年金生活者が増えることで、値上げに踏み切るのも厳しくなる現実があります。

国土交通省が示している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」において、新築時から築30年までの均等積立方式として、おおよその目安が示されています。

毎月の修繕積立金の平均値(専有面積当たり)

15階建以下のマンションの場合
・建築延べ床面積5,000㎡未満で218円/㎡
・5,000〜10,000㎡で202円/㎡
・10,000㎡以上で178円/㎡
専有面積に応じて修繕積立金は負担額が決まりますので、建築延べ床面積が5,000㎡未満のマンションで、専有面積が70㎡の住戸の修繕積立金はおおよそ218円×70㎡=15,260円になります。

マンションの規模が大きいほど一住戸あたりの負担が割安になるため、建築延べ床面積が大きいほど単価が少し安くなっています。

また、マンションの中でも20階建を超えるとタワーマンションと呼ばれます。

タワーマンションは住戸の数は多くなるのですが、単純に割安にはならず、工事の際の足場も割高になることから、修繕積立金は同じ戸数の15階建以下のマンションと比べると若干割高になります。

20階建以上のマンションの場合
・206円/㎡

この他にも機械式駐車場はマンションでは珍しくありませんが、上記のほかに部品交換に多額の費用がかかります。

機械の台数のほかに、上下にのみ動くタイプか、パズルのように上下左右に動くタイプかによっても差が出ます。

例えば、積み立てる金額の目安として、4段の上下左右に動く機械のタイプで14,165円/台・月額が必要です。

50台分の機械式駐車場があれば、機械の部品交換計画用にマンション全体で毎月70万以上の積立があることが理想です。

この70万円を専有面積に応じて負担するのですから、50戸くらいの総戸数だと単純計算しても1住戸あたり1万円以上になります。

これだけの金額の積立がされているマンションはなかなかありません。

修繕積立金が足りなくなる理由

分譲マンションで毎月徴収されるのは、管理費と修繕積立金です。
(駐車場使用料や駐輪場使用料が徴収される場合は、最終的には管理費または修繕積立金の一部になっています)

管理費は、マンションの共用部分で使われる光熱費や管理人を雇うための費用、エレベーター等の設備の点検や維持費などに充てられるランニングコストの部分です。

修繕積立金は、ランニングコストと言うよりも数年に一度の大きな工事をするための原資を貯めておくものです。

修繕積立金の徴収方法には大きく2つあり、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」と呼ばれます。

均等積立方式は例えば30年分の総工事費を均一に毎月に分けて、最初から高めの修繕積立金を徴収する方法です。

段階増額積立方式は、築年数に応じて不足する金額を増額していく方法です。

修繕積立金は新築時には、高額であると販売に響くので、最初は安めに設定できる段階増額積立方式で数千円に設定して、別途修繕積立基金として何十万か徴収する形が多いです。

そもそも段階増額積立方式では値上がりありきで考えられているのです。

マンションは古くなれば古くなるほど修繕する部分も増えます。

当初の計画が値上がりしなければ、足りなくなる仕組みなのです。

しかも、昨今では消費税の増税や建築コストの高騰もあり、大規模修繕工事の工事費用は数年で比較しても増加傾向にあります。

そのため長期修繕計画も一度立てたらそのままではなく、5年毎に見直されることが推奨されています。

また、長期的に見れば技術の向上で工事方法が将来的には変わって行く可能性や物価の上昇もありますから、均等積立方式で計画していても30年先に資金が足りている確証はありません。

国土交通省のマンション総合調査では、平成20年度で約21%のマンションで積み立てたお金だけでは足りず、金融機関からの借入または一時金の徴収を行なっている現実があります。

売却のタイミング

マンションを売却する場合、買主に説明する事項として長期修繕計画はもとより、貯まっている修繕積立金の金額、過去の工事の実績、今後修繕積立金や管理費の改定を検討しているかなども示さなければなりません。

大規模修繕工事が終わった直後であれば、支出の心配も少なくなりますが、数年後に計画されている場合、修繕積立金の値上げが必要か検討する可能性があります。

また、あまり多くはありませんが、値上げでは全く足りず一時金(数十万円)の徴収が必要になってしまう例もあります。

一時金の徴収の場合、一度納めたお金はその直後に売却しても管理規約で戻ってこないと定められていることがほとんどですので、売却を検討している場合は要注意です。

買主としても、値上げが検討されているマンションと値上げがなさそうなマンションであれば、値上げがなさそうな方がいいなと思う人は多いでしょう。

売却のタイミングとしては、「具体的な修繕積立金の値上げの話や一時金の徴収がない時」がおすすめです。

宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

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