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離婚の際は自宅をどうするか悩むことになります。
婚姻中に購入した自宅も夫婦の財産の一部ですから、離婚に際しては分け合うことになりますね。
不動産の場合は、最も分けやすいのは現金にして家を売ることです。
しかし、名義が共有になっていたり、売却してもローンが完済できない時など売却までが簡単に行かない例もあります。
売却ができなくてローンの返済を続けるにも、連帯保証人のようにローンに夫婦が関わっていると、返済不能に陥った時のリスクを離婚後も背負わなければなりません。
今回は、離婚と自宅の売却で問題となるケースを説明します。
離婚で売る家が共有名義になっている時
不動産売却のハードルの一つが共有名義です。
共有名義は複数の人が所有権を持っていること。
共有名義には持分の割合という考え方があり、1/2ずつ、2/3と1/3など、不動産登記の際に自由に決められます。
基本的には、頭金の額やローンの額が基準で持分を決めます。
お金を出した分を所有しているという考え方ですね。
購入時に夫婦で頭金を出し合ったり、ローンを相互に負担したときに共有名義は珍しくありません。
持ち分や共有している人の内訳は、法務局の登記事項証明書で誰でも確認できます。
共有名義の問題として、売却にはどんなに少なくても持分を持った全ての所有者が売却に同意する必要があることです。
共有名義で多いパターンである共働き夫婦がそれぞれ家の所有権を持っている場合は、共有関係が解消されない限り、何年先でも売却したくなった時に困ることになります。
例えば最悪の場合、連絡が取れなくなったり、相手の所在が分からなくなってしまうと、売却するにも何倍もの労力がかかります。
そのため、共有名義の家は早期に売却した方が良いといえます。
売却して残債務が返せるか
売却するにあたって、売買代金がローン残高を上回るのか(アンダーローン)、売買代金はローン残高に届かない(オーバーローン)のかという点が重要です。
アンダーローンの場合は、手元にお金が残りますから、現金化できた分を夫婦で分けることができますね。
昨今は昔と異なり、購入時に頭金を2割用意するという慣習が薄れ、100%ローンあるいは諸費用までローンを組むことがあり、売却してもオーバーローンという状況は珍しくありません。
銀行はローンを完済するまで抵当権(担保)を外してはくれませんから、オーバーローンになるときに預貯金など残債務を返す方法がなければ、離婚後も引き続きローンの返済が残ることになります。
ローンの債務者が夫、連帯保証人は妻の場合
連帯保証人は債務者が返済を続ける限りは、不都合が生じませんがローンがある限りは、夫が返済できなくなった時は、妻に返済が降りかかるリスクがあります。
離婚後に知らぬ間に返済が滞っていたとなれば、連帯保証人は銀行から督促を受けることになるのです。
そもそも住宅ローンの審査時に連帯保証人につけなければならない理由は、多くが妻の年収を合算する必要があったり、主たる債務者の審査が100%問題なしで通らなかったからです。
年収や勤務年数の長さなど、マイナスポイントがあった場合に、連帯保証人をつけることでローンを通します。
銀行も連帯保証人は誰でもいいわけではありませんが、離婚を理由に辞められても困ります。
連帯保証人を途中で辞めることはほぼできませんから、住宅ローンを完済するか、ローンの借り換えを行なって、債務者を変えることになります。
その他、売却の有無を問わず、離婚後に自宅から引っ越した時は住宅ローン控除が適用されなくなりますので、注意が必要です。
住宅ローン控除の条件は、自宅(居住している)であるからです。
単身赴任で家族が居住している時は特例として控除が認められますが、離婚になると特例から外れてしまいます。
夫がローンを支払うが、妻が住み続ける
売却せずに片方が引き続き住むパターンもありますね。
日常的には問題は起こらないかもしれませんが、出て行った側がやっぱり住宅を売却したくなった時に話がこじれる可能性が大です。
家の売却は、所有者の意思で決めることができます。
もし住み続けている妻が共有名義で所有権を持っていれば、売却に反対することが可能ですが、夫のみが所有権を有している場合は、夫の意思のみで売却すること自体は可能です。
売買契約は、所有者が行うものなので、妻の知らない間に売却が行われてしまうこともあり得えます。
実際に住んでいる側が所有者権を全く持っていないという状況はリスクがあると言えます。
夫婦の連帯債務の場合
年収が夫婦で同じくらいの時に、それぞれがローンの借り入れ人になる契約を取ることがあります。
連帯債務の本来の目的は、ローン控除を夫婦それぞれが受けることで、より税金面でメリットを受けるためです。
連帯債務は1本のローンを夫婦それぞれが借りて返しているという状況で、連帯保証人とは異なります。
似たローンの形にペアローンがありますが、こちらはローンが2本ある形で、双方が自分のローンの返済を行います。
ただしペアローンなら、自分のローンだけ返せばいいかというとそういうわけではなく、相互に連帯保証人になることが条件に含まれることがありますので、結果的にはローンすべてに対して責任があると考えたほうが良いです。
ちなみに、離婚したから連帯債務を辞めるということもできません。
また、連帯債務やペアローンでは、共有名義になるので先に説明したような売却の際の双方の同意が必要になります。
家を売る理由を聞かれたら?
不動産の売却理由に離婚は確かに多いのですが、購入を検討している人にむやみに伝えるのが良いとは言えません。
自己破産や離婚などはマイナスなイメージがあり、例えば同じくらいの不動産があれば、マイナス要素がない方を選びますよね。
運気を気にする人は一定数いるので、転勤や地元へ戻るといった理由の方が印象が良くなります。
近所に知られずに家を売りたい
離婚という理由から、売却は手早くかつ近所に知られずに終わらせたいという希望もあるかもしれません。
一般的に売却は3ヶ月以内に終われば、スムーズといわれ、個人間売買で住宅ローンの審査がある場合、ローン審査だけで1ヶ月程度はかかるので、客がすぐについても最短でも1ヶ月〜2ヶ月かかると思った方がいいでしょう。
一方で、業者に売却する「買取」は、業者の現金一括払いのため、売却方法の中では最も早く済みます。
個人に売却するよりも、室内の状況など細かなところまで買取業者はこだわらないため、内見に手間がかかることもありません。
当然、売却理由が離婚というネガティブな理由であっても業者は気にしませんから、早く簡単に現金化したい人におすすめです。
住宅の引き渡しさえ整えば、最短で数日で売却が終わります。
仲介よりも買取の方が価格は下がりがちですが、仲介手数料はかからないため、処分方法の一つの選択肢として比較すると良いかもしれません。
一括査定でスムーズに家を売る
離婚で自宅を現金化する必要が出てきたときは、いくらで売れるのかが重要です。
金額次第では、そもそもローンの返済に満たない可能性もありますから、自宅の売却相場を知ることから始めましょう。
いつ売れるか売れないか分からない仲介は不安が残るという人は業者買取ですぐに現金化することも検討しましょう。
不動産一括査定サイトを使えば、複数の査定と近隣の不動産会社をまとめて知ることができますから、売却の方法がわからない時は便利です。
soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |
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