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家を売る時、共有名義であるとどんなに持分が少なくても名義を持っている人は所有者であり、全員の同意がなければ家は売れません。
共有名義と単独名義はどう違う?換価分割とは?
共有名義と家の売却について説明します。
共有名義(持分)とは?
不動産の所有者は登記することで公に証明できます。
所有者は一人である必要はなく、複数でも問題ありません。
2人、3人など何人でもいいのです。
複数の所有者がいることを共有名義といいます。
親子や夫婦での共有名義のケースが多いですね。
共有名義では、持分も同時に登記します。
持分は例えば2人の所有者であるからといって50%ずつにする必要はなく、5分の1と5分の4など自由に決められます。極端なことを言えば、100分の99と100分の1ということもあります。
登記事項証明書を取り寄せれば、誰でも共有名義の有無やその持分割合を知ることができます。
一般的には、持分は購入時に負担した頭金や住宅ローンの金額を基に決めます。
お金を出さずに持分だけをつけることは、無償で不動産を得たことになり、贈与に当たる可能性があるので要注意です。
相続で所有権が移った場合は、相続の割合が持分になることもあります。
共有名義と単独名義との違いは、家を売る時にまず手続が増えることです。
共有名義の家を売るためには、持分を持っているその割合の大小を問わず、全員の承諾が必要になります。
持分が少ない人の意見を無視して良いわけではありません。
共有名義の持分のみを買い取るという特殊な不動産業者もありますが、とても安く買い叩かれますし、なにより家そのものを売却することにはなりませんから、持分を買ったところでその不動産の利用方法はかなり制限されます。
持分の買取をする不動産会社は、もちろん持分だけでは利用価値がないことを知っています。
所有者から個別に持分を安く買い取って、持分を集めることで、最終的に安く不動産を手に入れることが目的です。
持分の売却では、自宅を探している個人や買取再販が目的の不動産会社には買ってもらえませんので、原則は所有者全員の同意の下で家そのものの売却が正解です。
単独名義と比べて、売却の際の手間がかかることから、不動産の共有名義は避けた方が良いといわれるのです。
換価分割とは?共有名義(持分)の家を売る方法
故人が不動産を所有しており、相続人が複数いた場合はその不動産の分け方が問題になることが多いですよね。
住み続ける家であればそのまま相続しても良いかもしれませんが、相続人が複数いた場合は不動産の名義を相続人にそれぞれ持分をつけてしまうと権利関係が複雑になってしまうデメリットもあります。
そこで相続した家を分ける方法に換価分割というものがあります。
簡単に言うと、相続物件を売却して売却代金を相続人で分けるという方法です。
現金で分けることができるので、平等であるという一方で、家は残りません。
不動産が相続の対象になった場合は、先に説明した共有名義で登記をすることで相続した、ことにもなるのですが、共有名義は何かとその後の管理が面倒であったり、共有にすることで売却の手間も煩雑になることから、換価分割の方が良いことがあります。
例えば、共有名義にして家を相続した場合のデメリットは次のようなものがあります。
- そのまま相続が何回も続いたり、兄弟が多かった場合などは共有者がどんどん増えてしまう
- 住む予定のない家の名義を持つことになったとき、管理や固定資産税(共有者全員で負担が必要)の負担がある
他にも相続税がかかる場合は、納付するための現金があれば良いのですが、ない場合は相続物件を売却して相続税の資金にすることもあるでしょう。
相続した家に誰も住む人がいない場合などは、売却して現金化してから相続人に分けるという換価分割が向いていることもあります。
ただし、引き続き住み続ける人がいた場合は売却が必須な換価分割では話がまとまりませんので、相続人全員の意見がまとまれば検討できる方法です。
なお、遺産分割協議書にどこの不動産をどの相続人にどういった割合で分けることに決まったか記録し、相続登記をする際に法務局へ提出します。
また、売却にあたっては仲介手数料等の費用の発生があります。
共有名義(持分)の家を売るための注意点
先ほど説明したとおり、共有者全員の意思確認は必須、共有者全員が売主になります。
登記識別情報や、不動産に関するパンフレットや図面を除く、売主の本人確認に用いられる書類は次のとおりです。
必要書類
全員が家の売買契約書への署名と押印を行い、売買の所有権移転登記に必要な印鑑証明書を用意します。
- 共有者全員の実印
- 共有者全員の契約書への署名
- 共有者全員の印鑑証明書
- 共有者全員の身分証明書
これらのものが必要になります。
売買契約書までは実印の押印は必須ではありませんが、所有権移転登記に絡む登記申請関連の書類は実印が必要になりますので、印鑑証明書と共に準備が必要です。
登記記録と現住所が異なる場合は、住民票も必要になります。
ちなみにこれらは単独名義の場合でも売主が用意する書類です。
共有名義だからといっても特別な書類は増えません。
共有者全員が所有者ですから、何事にも全員分の書類が必要になると覚えておきましょう。
ちなみに相続した家を売る時は、所有者が故人のままでは売却はできませんから、まずは相続人に所有者を変更する登記を行い、売却の際の売主は相続人という形になります。
住宅ローンが残る家を売る
連帯債務やペアローンで住宅ローンを借りている家を売却したい場合は、住宅ローンが完済できなければ売ることはできません。
特にペアローンでは、夫婦が別々にローンを返している形になるので、自分の分を返せばそれで良い、と考えるかもしれませんが、家を丸ごと売るとなれば金融機関の抵当権を解除するためにも、その家が持っている全てのローンを返済しなければなりません。
そもそもペアローンといっても、各自がまったく別々の扱いかというと、仕組みとしては自身が住宅ローンを借りていると同時に互いに相手の連帯保証人になっているため、相手がローン返済を滞らせると他人事では済まされません。
住宅ローンを何人で借りたとしても、担保はその家だけですから売却には全員分の返済ができなければ、抵当権をすべて解除できません。
特に夫婦の共有名義になっていたり、ペアローンになっている状態で離婚をしてしまうと、家を売りたい、売りたくないで揉めてしまうことがあります。
離婚したとしても、住宅ローンの債務者は変えられないので、返済はそのまま継続するのが基本です。
繰り上げ返済する預貯金がなく、売却してもローンの残債に届かない場合は、返済を続けていく方法しかないかもしれません。
住宅ローンの残る共有名義の家を売るまでには①ローンの全額返済、②名義人全員の売却をすることへの同意、が必要になります。
名義を単独に変更できれば、煩わしい手続も減らせますが、ローン返済中では金融機関はほぼ認めませんので、残債を完済する方法を考える方が良いでしょう。
単独で残債の金額に対して住宅ローンの借り換えの審査が通れば、共有関係を解消し単独のローン・単独名義にすることができるので、まずは名義だけでも単独にしたい場合は、住宅ローンの借り換えを検討してみましょう。
共有名義(持分)の家の売却は何から始める?
「共有名義であることは分かっているが、誰がどれだけ持分があるかは分からない」
「代々相続が続いていたので、誰が名義を持っているか分からない」
不動産登記は所有者が亡くなったからといって自動的に相続人に変更されるものでもありませんので、変更されずにずっとそのままだった、ということも珍しくはありません。
共有名義については、登記事項証明書を取り寄せれば誰でも知ることができるのですが、管轄は馴染みの薄い法務局ですし、家の所在地(住所とは異なることもあります)が必要で、少しだけ知識が必要です。
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soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |
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