生産緑地の2022年問題で地価暴落はホント?押さえるべきポイント

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2019.05.22

目次

「2022年問題」をご存知ですか?

サッカーワールドカップが開催されるカタールの気温が高すぎて、選手達が疲弊してしまう問題ではありません。

簡単に説明すると、都市部の生産緑地(市街化区域内の自治体より指定を受けた農地など)の大部分が2022年に指定より30年を迎え、これに伴って市場に宅地化した土地が大量供給されることで、地価の暴落が懸念されている問題です。

聞きなれない「生産緑地」というワードの説明から、2022年問題対策のため創設された「特定生産緑地制度」、そして現役不動産屋の筆者が考える「2022年問題」の見解について述べたいと思います。

そもそも生産緑地とは?

生産緑地とは自治体が生産緑地地区に指定した区域内の農地や山林のことを言います。

緑地が本来持っている地盤の保持や保水、また災害を防止する働きを損なわないようにするため、生産緑地地区は指定されています。

生産緑地の所有者には当該土地の管理義務があり、営農することで使用と収益を認められているのです。

指定から30年を経過した生産緑地は市町村長に対して時価で買取を申出することが可能です。

市区町村が買取しない場合、別の農家などへの買取斡旋を経て生産緑地として買収する人がいなかった時は、申出から3か月後に指定が解除されます。

現実的にどこの自治体も予算が潤沢にある訳ではなく、指定が解除されることが多いでしょう。

これ以外にも土地所有者が疾病や障害などで営農が困難になってしまった場合や、土地所有者が亡くなり相続人が営農しないケースでも申請によって指定が解除されます。

指定が解除されると、再び生産緑地の指定を受けることはできません。

生産緑地のメリット!税金の優遇措置

生産緑地指定を受けると税金面で大きなメリットがあります。

固定資産税が農地並み課税

通常、三大都市圏の特定市内の市街化区域に所在する農地では、固定資産税が宅地並みに評価されます。

ところが生産緑地の指定を受けることで、固定資産税の評価額が農地並みに抑えられます。

固定資産税の計算は大変複雑なので、割愛しますが宅地並みの評価と農地並みの評価では、税額が数十から数百倍も変わることもあります。

収益性から考えても都市部では耕作面積が狭いため、固定資産税が高額ですと農作物をどれだけ売ったとしても儲けがでません。

こういった理由から、生産緑地では固定資産税の優遇措置がとられています。

相続税の納税猶予の特例措置

生産緑地の場合、土地所有者が亡くなるまで営農することが条件で、相続税の納税を猶予されます。

注意点として、相続税の猶予なので免除されるわけではないということです。

もちろん猶予は営農が条件であるため、何らかの理由で農業を続けられなくなった場合は猶予されていた相続税を納めなければなりませんし、利子税が加算されます。

また法改正によって平成30年9月1日以降は生産緑地の貸借についても、相続税の納税猶予が適用されています。

延長可能!特定生産緑地制度

政府も不動産市況が混乱しかねない「2022年問題」を静観しているわけにはいきません。

そこで平成29年に生産緑地法を改正して、平成30年4月より施行された『特定生産緑地制度』によって、以下の対策を打ち出しました。

①生産緑地地区の指定対象の土地面積下限値を500㎡から300㎡に引き下げが可能となった
500㎡に満たない宅地化せざるを得なかった小さめの農地を生産緑地に追加指定することができるようになりました。

②生産緑地地区内に農産物を加工・製造する施設、農産物等の直売所、それに付随したレストラン等の建築物の設置が可能となった
営農だけでなく土地の有効活用が認められたため、後継者がいない土地所有者でも選択肢が増えました。

③買取の申出可能な期日を所有者等の意向を基に10年延長することが可能となった(その後も10年経過する前ならば、繰り返し10年の延長が可能)
要するに期限が到来する前にキチンと(特定)生産緑地指定の意向を示せば、今までと何ら変わりません。

2022年問題抑えるべきポイント

結局のところ、「2022年問題」によって不動産市場に生産緑地が大量供給され、地価が暴落する心配はないと筆者である金井は考えます。

平成27年度に実施された、東京都の生産緑地を所有している農家へのアンケート調査では、4~5割の農家が相続税の納税猶予制度の適用を受けている結果となりました。

もしも生産緑地の買取の申出を行えば、相続税と利子税の負担が発生することから、少なくとも猶予を受けている土地所有者が買取を申出する可能性は低いと言えます。

また特定生産緑地制度が施行され、行政も都市農地を保全していく方向へシフトしていますし、生産緑地を宅地化してしまえば、固定資産税の優遇を受けられなくなるので転用のメリットも少ないです。

2022年以降、宅地化された生産緑地が売りに出ないわけではありませんが、今でも再開発で調整区域の線引きが変わったり、農業委員会等で農地転用の許可を受けて宅地化された農地はいくらでもあるので、「2022年問題」が市場に与える影響は軽微で限定的です。

けれども土地や家を売るなら早く動くに越したことはないでしょう。

なぜなら「2022年問題」よりも、間違いなく今後は「空き地・空き家問題」の方がより深刻化してくるためです。

人口は減少していくにも関わらず毎年のように新築物件が建てられ、かつ空き地・空き家が増加していけば不動産市況が悪化して地価が暴落することは、火を見るよりも明らかです。

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金井

生まれも育ちも仕事も大好きな横浜で人生の大半を過ごす。 地場の建設会社にて施工管理を学ぶ(某有名人宅の新築工事に工事主任として1年間従事)。 同社で不動産の営業、企画にも携わる。 その後、大手不動産会社へ転職し管理と仲介営業を経て2017年に不動産会社を起業。 保有資格:宅地建物取引士、二級建築施工管理技士

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