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師走に飛び込んできた、42人の重軽傷者をだしたアパマン社員の不注意による、ガス爆発事故から見えてくる賃貸不動産業界の闇を賃貸仲介経験がある筆者金井が詳しく解説します。
事故概要
札幌市豊平区で12月16日(日)の夜に起きた爆発事故。
飲食店や不動産会社、整骨院が入居していた木造2階建ての建物が全焼し、42人がけがをしました。
事故当初、爆発現場でガスのにおいを嗅いだ証言もあったため、飲食店のガスボンベに引火か?と複数報道されていました。
現場から数10m離れた場所でも吹き飛んだ木片が散乱し、周辺建物や自動車にも被害があり、爆発の凄まじさが分かります。
事故原因の究明が進むと、アパマンショップ平岸駅前店で従業員が約120本のスプレー缶を室内で噴射し、手を洗うために給湯器を点火して爆発が起きたことが判明しました。
アパマン爆発がもはやドリフ pic.twitter.com/qZR53G2pVf
— hayao (@hayao3215) 2018年12月18日
スプレー缶について
このスプレー缶は株式会社ヘヤシュ(なお同社はAPAMAN社長が役員に名を連ねています)の商品で、消臭と除菌を目的としたスプレーです。
一般向けに販売されておらず、アパマンショップで賃貸借契約を結んだ賃借人に対して、作業費込みの1~2万円ほどで売られていました。
金額に幅があるのは部屋の広さ(間取り)によって、金額を変えていたためです。
200mlの内容量1缶で8畳用と製品データに記載があります。
商品の特徴として全量噴射型なので、1回ボタンを押すと内容物が4~5分自動噴射されます。
G駆除で使うバ〇サンのようなイメージですね。
よってガス抜きは不要です。
補足ですが札幌市だけでなく役所関係のHPでごみの出し方として、スプレー缶は使い切って分別廃棄と記載されていることが多いです。
穴を開けたり、誤った廃棄方法をするのは絶対にやめましょう。
アパマン爆発の原因となったらしい
ヘヤシュの写真が落ちてたので拾ってきたこれだけ警告されてるのに
良くこれを密室で、100本以上も使えましたね
会社から訴えられるのでは pic.twitter.com/i1tk0u7iKj— つゆだく納豆 (@nattou_oomori) 2018年12月17日
なぜ事故が起きた?
そもそも、約120本ものスプレー缶をなぜ室内で噴射する必要があったのでしょうか?
これには、賃貸仲介業界の深い闇が垣間見えます。
まず日曜日の20時過ぎからこの作業をしなければならない職場環境はいただけません。
事故のあった店舗では、2日後に店舗の改装予定があったため、在庫のスプレー缶を処分する必要があったそうです。
未開封であれば、移送して保管したり返却することも可能であったはずです。
けれども、在庫と発注の数が合わなければ、お客さんに請求はしているが施工をしていない事実が発覚してしまいます。
このため事実の発覚を恐れて、隠蔽工作をする必要があったと考えられます。
都市部では繁忙期(特に2~3月)ともなると、お部屋探しのお客さんが休む間もなく訪れるため、とにかくお客さんを捌かなければなりません。
人手が不足している店舗は、毎日残業で休みなしという悲惨な状況です。
この繁忙期などに、請求はしているが消臭・除菌を行わずスプレー缶の在庫が増えていったものと考えられます。
危険なスプレー缶を取り扱う認識の甘さと隠蔽体質によって、起きた爆発事故であるといえます。
アパマンの爆発はこういう事か
1.本部から消臭除菌のノルマを課される
2.作業を委託せず営業マンが行うよう本部が指示(利益率上げる為)
3.ほぼ全ての契約に消臭除菌代を強制的に入れる
4.繁忙期だと営業マンが動けない
5.実際は作業出来ない契約が増える
6.バレたらマズイので辻褄合わせする為ガス抜き— 内藤譲二@Knight George (@misachi01) 2018年12月17日
アパマンショップとは?
今回事故を起こしたアパマンショップ平岸駅前店は、JASDAQ上場の賃貸不動産会社APAMAN株式会社のグループ会社である株式会社アパマンショップリーシング北海道が運営する店舗です。
過去にはAKB48や世界的に有名なサッカークラブチームFCバルセロナ、三代目J Soul Brothersをキャンペーンに起用するなど、賃貸不動産業界でも勢いのある会社です。
2018年1月に全国賃貸住宅新聞にて発表された仲介件数ランキングで、アパマンショップリーシングは全国10位に入っています。
爆発事故2日後の12月18日には、APAMAN株式会社から謝罪文が掲載され、株式会社アパマンショップリーシング北海道の佐藤大生社長によって謝罪会見が行われました。
文字通りアパマンが吹き飛ぶ案件では…。
「顧客複数から料金を受け取りながら、入居時の消臭工事をしていなかった」https://t.co/zaENGt7RoA
— Tad (@CybershotTad) 2018年12月18日
賃貸仲介業界でいえること
この消臭除菌サービスに似たサービスは同業他社で必ずといっていいほど、販売しています。
私が勤めていた某大手仲介会社でも、スプレータイプの消臭剤を販売していました。
外注業者に虫駆除や消毒を依頼するケースもあります。
もちろん商品を売れば会社の利益に繋がるため、ノルマは発生しないまでも昇進や賞与の際など、評価対象になっていたのは事実です。
(アパマンでは消臭除菌サービスの販売に重いノルマが課せられていたという元従業員の証言もあります。)
賃貸仲介業界では、こういった付加サービスの販売が仲介手数料以外の大事な売上になります。
そのため、お部屋の契約者が望んでもいないのに当然のように消臭や消毒サービスが付加されている場合もあるため、賃貸借契約時の初期費用には注意が必要です。
項目がいくつもあって不明点や疑問点を感じた場合は、担当者に説明をしてもらいましょう。
借りるお部屋のことだけでなく、サービス内容についてもしっかりとした説明ができない業者との契約はオススメしません。
爆発事故で死者がでなかったことが不幸中の幸いですが、これだけ世を騒がせてしまうと、今後同様の消臭除菌サービスを売ることは難しくなるため、イメージの悪化とともに売上の減少は賃貸仲介業界全体に大きな痛手です。
そして消臭除菌サービス自体、施工したことが実感しにくいサービスであるため、代金を請求して施工を行っていないという問題が新たにクローズアップされそうです。
金井
生まれも育ちも仕事も大好きな横浜で人生の大半を過ごす。 地場の建設会社にて施工管理を学ぶ(某有名人宅の新築工事に工事主任として1年間従事)。 同社で不動産の営業、企画にも携わる。 その後、大手不動産会社へ転職し管理と仲介営業を経て2017年に不動産会社を起業。 保有資格:宅地建物取引士、二級建築施工管理技士 |
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