目次
マンションのモデルルームでは、どんなことができるかご存知ですか。
マンションがどのように販売されているか、見学の方法やモデルルームでチェックしておきたいポイントを紹介します。
棟外モデルルームと棟内モデルルームの違い
マンションのモデルルームは大きく分けて、建設地とは別の場所にある棟外モデルルームと、実際の建物内にある棟内モデルルームがあります。
棟外モデルルームで、建物が完成する前から販売が始まるのが分譲マンションの特徴です。
建物の完成より前に販売されるマンションは、棟外モデルルームに行くことになります。
戸数が多いマンションは、販売が入居の1年以上前から始まることが多いです。
棟外モデルルームは、実際の建設地よりも大通り沿いや駅前などの目立つところで仮設の建物を建てて営業しています。
そのマンションの間取りで最も広い部屋や販売価格が高い住戸の実物大の部屋が作られています。
さらにモデルルームは特別仕様として、間取り変更やオプションがたくさんつけられて、数千万円や億の予算が使われて、豪華に飾られているのも特徴です。
建物の工事が終わると、実際の住戸が見られるようになるので、その一部の住戸が棟内モデルルームになります。
完成した建物なので、景色や日当たりが確認できます。
購入する住戸が見られることもあるので、想像と違うという失敗が起きません。
棟外モデルルームから売り出している場合は、人気のある間取りは売り切れてるので、選べる部屋が限られていることがあります。
何件のモデルルームを見ればいいか
人によって、見学する件数は違っています。
傾向としては、3件~4件を見学して、最初の見学から約1ヵ月で1つの物件に絞り、契約をするパターンが多いです。
多くはありませんが、最初から決めていた本命の1件目で契約する人もいます。
逆に、見学件数が増えれば増えるほど、最終的に決めきれずに疲れてしまう人が増えます。
分譲マンションは、同じ位の価格帯の物件ですと、内装や設備ではほとんど差がありません。
多くの人が決め手となるのは立地と価格です。
すべての希望条件が叶う100%のマンションはありませんので、どうしても譲れない条件を絞っておくことが大切です。
期分け販売
マンションの販売では、「第1期」「最終期」というような販売期を区切った売り方をすることがあります。
全体が100戸のマンションであれば、20戸ずつ5期に分けて広告をするような方法です。
この方法が取られる理由としては、間取りが偏って売れてしまうことを防いだり、戸数が多いほど販売に時間がかかるため、数戸ずつに区切ることで「第1期即日完売」のように売れ行きが順調であることをアピールするためです。
期分け販売では、間取りや階数をバランスよく売り出します。
次期販売予定の住戸は価格が隠されているので、未販売の住戸が気になれば、スタッフに確認すれば販売予定を教えてもらえます。
モデルルームでは、住戸の一覧表に花がつけられているものを飾っていることがあります。
これは、契約済み住戸や申込が入っている住戸につけられているものです。
申込はまだ未契約ですので、どうしても気になる部屋があるときはスタッフに確認すれば、まだ購入ができるかも しれません。
予告広告
マンションの販売でよく聞く言葉に「予告広告」があります。
これは、まだ契約など購入の具体的な手続きは受け付けていない状態で、「本広告」といわれる実際の販売の前段階です。
予告広告では集客を掛けることはできます。
大手不動産会社では予告広告で一定の集客と、購入見込み客を囲い込んでから、本広告で売り出して「第1期即日完売」と謳っていることはあまり知られていません。
予告広告では概要欄が「未定」の文字で埋め尽くされており、ネットやチラシで得られる情報は少ないです。
予告広告でも決まっていることは多いので、 欲しい物件であれば、モデルルームに行くのが最も良い です。
モデルルームにあるもの
棟外モデルルームはいくつかのスペースに分かれています。
個別で営業から接客を受けるためのスペースで個室または半個室になっています。
ダイニングテーブル程度の机と椅子がある空間です。パソコンやモニター、物件の資料が置かれています。
そのマンションのコンセプトや街の様子をまとめたムービーが見れるスペースです。
建物の模型が置いてあることが多く、東西南北どこからでも建物の形が見えてイメージしやすくなっています。
建物だけではなく周辺の街も模型なっていることもあり、どういった場所に建つのか視覚的に訴えかけるスペースです。
お子様連れの見学でも気軽に回れるように子供が遊べるスペースがあります。
土日限定が多いですが、保育士を置いているモデルルームもあります。
モデルルーム見学の注意点
モデルルームでできることはいろいろあり、見学以外では集客を目的とした各種セミナーが行われることがあります。
収納整理アドバイザーを講師に招いて、収納インテリアセミナーを開いたりしています。
少し勇気のいるモデルルーム見学ですが、セミナーですと少し気が楽ですよね。
モデルルームでの注意点がいくつかあります。
ただモデルルームを見学するといっても、物件のコンセプトや立地の説明など、意外に時間がかかるものです。
最低でも1時間はかかります ので、1日に何件も回ろうと思っている人は時間配分に気をつけましょう。
不動産会社によっては、次回の予約や成果がないままでは帰らせないような長い営業をするところもあります。
押しの強い営業に弱い人は、後に予定があって時間がないことを伝えるなど、切り上げる口実を作っておくのもいいかもしれません。
モデルルームは、見学者に感動してもらうために豪華に作られています。
特に棟外モデルルームは非日常の空間と言っていいほど綺麗に作られています。
間取り変更で3LDKが2LDKになってリビングダイニングが広くなっている、オプション商品が多いといった具合です。
モデルルームのオプション商品には、「オプション」のシールがありますので、チェックしておきましょう。
自分が検討する部屋とモデルルームは違うということを忘れないようにしたいです。
モデルルームで見るべきところ
不動産では自分が実際に購入する実物が見られないことが多い です。
ですから、マンションを買うときは立地で選ぶと後悔しません。
販売側も立地や設計のコンセプトを最も営業するので、まずはその場所、街に住みたいかを考えます。
モデルルームは、全体的な内装の色合いや設備の機能を確認する場所と考えましょう。
ただし、同じマンションでも価格の高い部屋だけは設備のグレードが良いことがあり、浴室が広かったり、キッチンは大きいものが入っていることがあります。
自分が検討している部屋の設備とは違うことがあるので、気をつけなければなりません。
また、飾り用に置かれている家具は小さめや背の低いものでコーディネートされています。
自分が持っている家具を置いた時に狭く感じることがないように、置きたい家具の寸法をモデルルームで測るのもいいでしょう。
棟内モデルルームでは、生活をイメージしながら見学ができます。
天井の高さや窓からの光の入り方、部屋の広さを見ましょう。
例えば、東向きの部屋は、午前中だけは明るいですが、昼頃には暗くなります。
西向きの部屋は、朝日こそ入りませんが、夕方まで明るいので、午後見学すると印象が良く見えます。
パンフレットの間取り図の寸法は、設計で用いられる壁芯(へきしん/かべしん)の寸法で表示されています
壁芯とは、壁の厚みの中心線で寸法を取ることです。
室内の有効寸法は、工事が終わった実際の部屋で測らなければ分かりません。
また階数が高いほど柱が細くなるので、数センチですが、同じ間取りでも上階の方が室内は広くなります。
もう入居が始まっているマンションであれば、共用部の様子も見ておきましょう。
棟外モデルルームでは、エントランスや共用施設まで作られていないので、棟内モデルルームで確認しましょう。
販売代理
「販売代理」という言葉を聞くことも分譲マンションでは多いです。
マンションの建設をした会社を売主といい、販売代理は売主から消費者へ販売を任されている会社です。
自社で建てたマンションを自社の社員で販売する会社もありますが、自社で建てても販売は完全に別会社(販売代理)に任せている会社もあります。
販売代理なのか、自社で販売しているのかで消費者にとっては大きな違いはありません。
販売代理がいるときは、物件の引き渡しまでは販売代理の管轄で、入居後は売主の管轄になります。
値引きはできるのか
販売期間が延びて広告費を払い続けるよりも、早期に完売させたいと思う会社は多いです。
売れ行きが芳しくないときや、完成後は値引きがあることもあります。
しかし当然ですが、人気住戸のような客がたくさんつく間取りは、値引きの交渉は受け付けてもらえないです。
チラシなどで価格が下がった旨を大々的に広告する会社もありますが、契約済みの客とトラブルの原因になるので、モデルルームで個別に値引きの交渉をした方がいいです。
複数の物件で値引きの交渉ができたとしても、「他の会社はもっと安くしてくれたのに」というような言い方はしない方がいいでしょう。
ほとんどの人は価格が安い物件よりも、気に入った物件を買うことを不動産会社も分かっているからです。
あくまで、「本命だけど、もう少し安くなれば購入したい」という意思を示した方が、値引きをしてもらいやすくなります。
最終期や残り1戸の間取りになると、急に売れ行きが良くなることもあり、1部屋に複数の購入見込み客がつくことになります。
あまり、1円でも安くということにとらわれると、他の人に先を越されます。
ただし、会社によっても考え方が異なり、販売期間が延びても値引きはしないという姿勢の会社もあります。
soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |

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