家を売るとき会う司法書士の役割とは?不動産登記と費用について

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2019.02.06

目次

不動産登記についてどこまでご存知でしょうか。

売買がされたらするもの?そもそも登記とは何をすること?費用はどのくらいかかるのか?

家を売るときにお世話になる司法書士の役割も含めてご紹介します。

不動産登記とは

不動産の中で関わる機会が多いのは、所有権移転登記でしょう。

簡単に言うと、所在地はどこの不動産がいつ、誰から誰に所有権が移ったかという情報を法務局で登録するものです。

以前はこの情報は「登記簿」と呼ばれましたが、電子化に伴い「登記記録」と名称が変わりました。

また、登記簿に乗っている情報を書面で得ることを「登記簿謄本」と言っていましたが、今は「登記事項証明書」と呼びます。

登記事項証明書は、赤の他人でも取り寄せることができ、誰でも自由に土地や建物の所有者を知ることができます。

登記は不動産の所有者であることの証明であったり、住宅ローンの担保となっていることの証明であるため、市役所にある住民票とは全く性質が違うのです。

ちなみに不動産の売買=登記だと思われるかもしれませんが、実は売買の時にする所有権移転登記は義務ではありません。

登記は他人に対して自分の所有物であるということを公的に証明するものであり、不動産売買は大きなお金の動く取引なので、登記が行われないことはありませんが、法律では義務ではないのです。

売買は他人への権利の移転があるので登記が代金の授受と同時にされますが、例えば相続となると、不動産の所有者が死亡後に相続される人への所有者の変更がされないまま、所有者がどのようになっているか分からなくなってしまっていることは珍しくありません。

ただし、登記の中にも色々あり、義務がある登記もあります。

それが建物表題登記や滅失登記というものです。

建物表題登記や滅失登記に基づいて固定資産税が成り立っています。

表題部というのは、その不動産のプロフィールのようなもので、所在地や構造、広さなどが記載される部分です。

滅失登記とは、建物を取り壊したり、なくなった時に申請するものです。

新築がされたり今まであった建物がなくなったり建物の状態が変わると、その情報を得なければ税金に関わりますから、建物表題登記や滅失登記は義務なのです。

ちなみに建物表題登記と滅失登記はは所有権移転登記などと違い、義務なので登録免許税はかかりません。

建物表題登記は司法書士ではなく、土地家屋調査士の管轄です。

登記識別情報と権利証の違いとは

登記簿を登記記録、登記簿謄本を登記事項証明書と呼ぶように、権利証は登記識別情報と呼ばれるものに変わりました。

権利証が大事なものというのは、なんとなくご存知の方が多いと思いますが、登記識別情報も権利証と同じ役割を持っています。

登記識別情報は12桁のランダムな英数字の組み合わせで、いわばパスワードです。

登記がされると所有者は登記識別情報をもらうことになり、このパスワードを知っている人=所有者であるということになるのです。

もっともこのパスワードは、書面で渡されるものですが、シールで隠されており、剥がさなければ見ることができません。

しかもシールは剥がしてしまうと元に戻せないため、所有者であっても剥がさないよう不動産会社から説明があるかもしれません。

ここで、所有者でも登記識別情報は分からないということ?と疑問に思う方がいるでしょう。

実はそのとおりで、所有者でも自分の不動産のパスワードは知らないのです。

知っていても良いでしょうが、シールを剥がしてしまうと、誰でも見られる状態ということです。

逆にシールが知らない間に剥がれていたら、誰かが見た可能性があるということです。

登記には本人確認が必須なので、パスワードが分かったからといっても勝手に所有権が誰かに移されてしまうということはもちろんありませんが、登記識別情報は登記官や司法書士のみが手続き上見るもので、シールを剥がさないというのが原則的なルールです。

登記費用はどれくらい?

登記費用は大きく3つに分けられます。

  • 登録免許税(税金)
  • 司法書士の報酬
  • 各種発行手数料

まずは、登録免許税ですが、これは税金のため、どの司法書士を使っても必ずかかる部分です。

土地と建物では税率が異なり、さらに売買、相続など理由によっても税率が変わってきます。

自己居住用や新築、優良な住宅には税金の軽減措置があるため多少安くなります。

登録免許税の税率

・土地の所有権移転登記
売買1.5%(平成31年3月31日までの軽減税率)
相続0.4%
贈与2%

・建物の所有権移転登記
なお、軽減税率には、登記記録上で床面積50㎡以上や自己居住用であることなど条件で、中古は不可です。
売買0.3%(平成32年3月31日までの軽減税率)
相続0.4%
贈与2%

・建物所有権保存登記(中古不可)
0.15%(平成32年3月31日までの軽減税率)
新築の時はまだ固定資産税評価額がありませんので、法務局の登記官が決めた価格を代わりに用います。

・特定認定長期優良住宅(中古不可)
所有権の移転または保存0.1%(平成32年3月31日までの軽減税率)

・認定低炭素住宅(中古不可)
所有権の移転または保存(平成32年3月31日までの軽減税率)
マンションなら0.1%
戸建では0.2%

以上の税率を固定資産税評価額に掛けた金額が登録免許税としてかかるのです。

固定資産税評価額とは不動産の売買金額とは異なります。

売買金額は売主と買主が自由に決めた金額ですが、固定資産税評価額は、市町村が決めているもので、新築の建物でも売買価格の50%くらいということもあります。

評価額は3年に1度見直しがあります。

固定資産税評価額を知る方法は、毎年所有者に4月頃に届く固定資産税の課税明細書を見るのが早いでしょう。

土地と建物は別々の不動産として扱われるので登録免許税もそれぞれかかってきます。

また、新築の時は、そもそも最初の所有者になるので、所有権移転登記ではなく所有権保存登記と呼ばれます。

次に住宅ローンがある時のみに関係する抵当権です。
・抵当権設定登記0.1%(平成32年3月31日までの軽減税率)自己居住用に限る

抵当権設定登記は固定資産税評価額ではなく、住宅ローンの借り入れ金額に税率を掛けます。

司法書士への報酬

司法書士は国家資格で、裁判所や法務局へ提出する書類作成、申請を行っています。

その中でも法務局への登記申請手続きの代行は主な業務で、不動産の売買では一度はお世話になるでしょう。

売主の抵当権が抹消されており、買主から代金の支払いがあったことを確認して、間違いのない取引になるよう準備して、登記申請を金銭の授受を同時に行うという、不動産取引の最後の部分を担っています。

登記費用は新たに権利を取得する側が負担することが一般的で、売買であれば買主負担が多いです。(抵当権の抹消は、売主であるその住宅ローンの借入人負担です)

司法書士への報酬について法令で定めがないため、全国的な平均が下記のとおりとなっています。

司法書士によって金額が異なるのが実情です。
(固定資産税評価額または住宅ローンの借入額が1,000万円のときの平均)

売主が登記識別情報を紛失していると、手間が増えるためもう少し高くなるので気をつけてください。

贈与による所有権移転登記 4万円から5万円
売買による所有権移転登記 4万円から6万円
相続による所有権移転登記 6万円から8万円
所有権保存登記 2万円から3万円
抵当権設定登記 3万円から5万円

仲介に不動産会社が入っている場合は、その不動産会社が司法書士を紹介することになるので、消費者が自由に選べる事は少ないです。

また抵当権の設定については、銀行が司法書士を指定する場合があるので、所有権移転登記と抵当権設定で別の司法書士が出てくることもあります。

各種発行手数料

この他、少額ではありますが、細かな手数料も必要です。

・登記事項証明書の発行手数料
法務局の窓口で取得するときは600円です。オンラインで申請すると少しだけ安くなります。

・住民票や印鑑証明書
原則は、市役所で自身で取得する必要があります。
住民票だけであれば、司法書士の職権で取得も可能です。
印鑑証明書は売主など権利を渡す側や抵当権の設定登記で使いますので、住宅ローンがない現金購入の買主は必要ありません。

登記は司法書士にお願いしよう

家を売るときや買うときに法務局へ申請する不動産登記。

不動産登記は売買代金の授受と同時に行われ間違いが許されません。

費用はかかりますが、司法書士にお任せしましょう。

登記費用はケースバイケースなので、どの登録免許税がかかってくるのか、固定資産税評価額はいくらか事前に確認しておくと良いでしょう。

soraki

宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。

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