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三井不動産のパーク~シリーズ、住友不動産のシティ~シリーズ、野村不動産のPROUD(プラウド)シリーズ、東京建物のBrillia(ブリリア)シリーズなど一度は耳にしたことがあるブランドマンション。
有名なデベロッパー(一般的に分譲マンションの売主・販売元)のマンションに憧れている人はたくさんいるでしょう。
その一方で何が違うのかよく分からない、そもそも価格に見合っただけの違いはあるの?と思っている人もいるかもしれませんね。
ブランドマンションとそうでないマンションの違いと、実はそんなに変わらない点を紹介します。
違うのはここ
価格が高い、高級住宅街にある、駅前のタワーマンション、そんなイメージを持つ人が多いかもしれません。
価格が高いから手が出ない、価格が高い分、よく分からないけどきっと建物が良いのだろうと思う人もいるかもしれませんね。
ブランドマンションにおいて、違いが顕著に出るのは次の3つ。
共用部
有名なマンションデベロッパーのマンションで特に差が出るのは、専有部(それぞれの部屋の中)よりも、外観や共用部の作り込みの部分にお金が掛けられていることです。
何件かマンションを見比べると、お金がかかっている見た目でブランドマンションだと分かる人もいるかもしれません。
ブランドマンションのホームページでは、立派なエントランスや夜景と合成した外観のCGがトップページを飾っており、室内のイメージパースよりも圧倒的に多いはずです。
例えば、マンションの外壁の仕上がりは、タイル張りと吹き付けに大きく分けられます。
全面タイル張りというわけではありませんが、高価格帯のマンションでは、高級感のあるタイルを使う部分が多い傾向にあります。
タイル張りはコンクリートの躯体(建築物の構造体)にタイルを張っていく仕上がりで、見た目には凹凸ができて陰影が出るため、高級感があります。
タイルを使用すると吹き付けよりも建築コストもかかります。
大規模修繕工事の際は洗浄をかけることで、美観が保たれるので昨今のマンションはタイル張りが多くなっています。
ただし、タイル張りは施工が悪いと、新築でも表面が汚れていたり、平らに張るべきところが凸凹になっていたり、仕上がりが悪いマンションもあります。
また新築から数年経って、施工不良が原因でタイルが躯体から剥がれ落ちてしまう事故のニュースを見たことがある人もいるでしょう。
施工が良ければ問題ありませんが、躯体からタイルが浮いているものが見つかっても、足場を作らなければ、補修工事ができないので、万が一の時には改修費用がかかる可能性もあります。
一方で、吹き付けは塗装を施す方法で、タイルよりも安価に施工はできます。
ただし高級感には欠けます。
タイルのように浮いてしまい落下するという事態は避けられますが、塗装面は劣化していきますので、10数年おきには塗り直すという修繕が必要になってきます。
他にも共用部分の作り込みと言う意味では植栽が多いのも特徴です。
建物の設計だけでなく、敷地内の植栽計画まで考えられています。
エントランスのアプローチが長い、車寄せスペースなど、建物の周辺が作り込まれている点がブランドマンションでは、優れています。
植栽は多いほど、印象も良くなりますから、マンションの顔であるエントランスが広く作られていたり、外観が素敵、立派だと感じられるときはブランドマンションです。
築年数を経過しても外観が立派にできている ので、古くなっても重厚感が感じられます。
倒産しないという安心感
住宅の新築から10年間は建物に瑕疵(隠れた欠陥など)があっても、デベロッパーが責任を取らなければなりません。
室内のアフターサービス期間と言われるものは大抵2年間ですが、 躯体や共用部については、10年間 はデベロッパーが面倒を見なければなりません。
しかも判例では、10年間を超えてもデベロッパーの責任が認められた例もあり、建てたら終わりではありません。
マンションを買ってからデベロッパーが倒産してしまうと、責任の所在が曖昧になってしまうリスクがあります。
リーマンショックの際には、全国で多くのマンションを建て、勢いのあったマンションデベロッパーが倒産し、現在でも吸収や子会社化されるデベロッパーは後を絶ちません。
マンションに限ったことではありませんが、住宅は建てた会社がなくならないというのは重要なところなのです。
即日完売の広告
最近では少なくなったように感じますが、「第1期即日完売」という広告を見たことが一度はある人、多いのではないでしょうか。
いつの間に売っていたのだろう、価格を見たことなかったような?そんな風に思っているうちに販売が終わるマンションのことです。
即日完売と言われれば、高価格のマンションでも売れ行きが良いんだなと思う人は多いのではないでしょうか。
実は、ホームページやチラシの広告で価格が「未定」のままのマンションは販売戦略として、未定としています。
間取りの情報も最低限しか公表せずに、モデルルームに来場した本当に検討している人にのみ詳細を説明しているデベロッパーもいるくらいです。
このようなやり方では、水面下で集客を掛けて、ある程度販売の見込みが立つと、販売開始にして即日完売しました、となります。
価格を未定にして、客のリアクションを見ている場合もあります。
近年は新築マンションの販売状況は軒並み芳しくなく、総戸数の多いマンションは期分け販売という手法も併用します。
期分けとは、例えば50戸の総戸数があれば、10戸ずつ販売することにして、第1期10戸、第2期10戸…と売り出す方法です。
売れ行きが悪いほど、1期ずつの販売戸数が少なくされますので、第1期1次5戸、第1期2次5戸…とさらに細かく分けることもあります。
期分け販売の戸数が少ない、即日完売が強く謳われている広告は演出の可能性が高いです。
変わらない点
これまでは、ブランドマンションの特徴を挙げてきましたが、全てにおいてグレードが高いかと言うと、次に挙げる点においては、ブランドではないマンションと違いが実はありません。
耐震性や建物の作り
ブランドマンションでは建物の設計が綿密であったり、意匠の素材については、高価な物が多く使われているのは事実です。
ただしこれはデザインの話です。
そもそもの建物の耐震性や施工についてはブランドマンションだからと言ってグレードが高いわけではありません。
マンションを分譲する会社はデベロッパーですが、施工については別会社のゼネコン(建設会社)が行います。
スーパーゼネコンと言われるような、日本で大手のゼネコンから、中堅や中小のゼネコンもマンションを建てます。
ブランドマンションもそうではないマンションも同じゼネコンが建物を作ることはあるのです。
もっと言ってしまうとゼネコンには下請け企業が何社もあり、 建物の仕上がりは職人の腕や、良い下請けを抱え込めるだけのゼネコンの力量によるところが大きい のです。
また、各住戸についてもブランドマンションだからといって、特別な遮音素材が使われるわけでもありませんし、より遮熱性が高いガラスが使われているわけでもありません。
体感的に、差はありません。
価格が高いから、上下階の音がしないということも決してありません。
価格帯が高くなるほど、標準装備の水回り設備はグレードが良いものが入っていることはありますが、躯体に関して差が出るものではありません。
また、マンションを設計するのは設計事務所が行います(ゼネコンが自社で設計をするパターンもあります)。
ブランドマンションもそうでないマンションも設計事務所が同じことはあります。
そしてブランドマンションだからと言って、必ずしも有名な設計士が設計したとは限りません。
ブランドマンションまとめ
ブランド名がついているマンションシリーズは、建物の意匠(デザイン)性が優れており、販売戦略も綿密に練られコストを掛けて建てられるのは事実です。
けれども、ブランドマンションでなく有名なゼネコンで建てていないから安心感がないというわけではありません。
建物は建築士によって設計された図面を基に造られるため、コンクリートの強度や杭の深さ、耐震性能等が建てたゼネコン・販売元によって変わることはありません。
そしてブランドマンションは 良い立地に建てられることが多いため資産価値が高く 、資金力のある販売元は倒産する可能性が低いので安心感があるマンションと言えます。
ブランドマンションのデメリットは『価格が高い』に尽きますが、信頼性が高く人気もあるため資産価値は落ちにくく、売却の際に売りやすいのはメリットと言えるのではないでしょうか。
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soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |