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俳優の江口洋介さんがナビゲーターで、同じく俳優の杉本哲太さんがナレーションを務め、社会の問題に鋭く切り込んだ内容で、好評を得ている「ガイアの夜明け」。
この人気番組で2019年3月26日の年度末に選ばれた放送内容が、前半は前会長ゴーン氏の逮捕で揺れる「日産の取材内容」、そして後半には特に視聴者から反響の大きい「レオパレスショック」が取り上げられました。
現役で建設・不動産業に関わっていると共に、グッバイホームを運営管理している金井が、「レオパレスショック」について独自の視点で解説したいと思います。
前々回レオパレスコラム記事
前回レオパレスコラム記事
界壁問題の新事実!界壁なしはレオパレスの指示だった
2018年5月のレオパレス社による屋根裏の界壁不備の会見では、施工業者へ責任を押し付けていました。
(界壁とは各住戸の間仕切り壁のことで、防火や遮音性を向上させる目的で小屋裏もしくは天井裏に達している必要があります。)
ところが今回の「ガイアの夜明け」では、実際にレオパレス物件を施工した業者が新事実を証言したのです。
「図面上に界壁は記載されていなかった。」
業者も図面にないものをわざわざ作るわけがありません。
間違いなく確認申請で添付した図面と業者に渡す施工用の図面が別物であったのでしょう。
そして建物の完了検査では、点検口がない建物は界壁を小屋裏や天井裏まで到達せず、点検口がある建物の場合は見える部分だけは、施工していたものと考えられます。
また「界壁は設置しなくてもいい」とレオパレス社から直接指示されていた業者も存在していました。
界壁を設置しなければ工期は短縮され、部材も少なく済むので利益は膨らみます。
一担当の判断で決められることではないため、組織的に常態化していたはずです。
レオパレスの一級建築士による苦しい釈明
また番組では「ハイブリッド」という界壁不備物件のオーナーが、設計図書に記載されている一級建築士とのやりとりを放映する場面がありました。
レオパレス側が当初は国土交通省の認定書を示して界壁は不必要と回答していたことに対し、この一級建築士は「商品知識の無知で誤った説明をした」と苦しい釈明をしたのです。
遮音性や防火上設置が必要な界壁を不要とする認定書を国が発行するわけがありません。
人命にも関わりうる問題をレオパレス社は、弱者である消費者を力で抑え込もうとしていたのです。
その後、改めて番組がこの一級建築士に追跡取材をすると、「全て会社を通してほしい」の一点張りになったのです。
このことからも組織的な隠蔽が透けて見えます。
創業者の指示
外部調査委員会から衝撃の中間報告
2019年3月18日に第三者による外部調査委員会から施工不備に関する中間の報告がありました。
要約すると、界壁未設置や設計と異なる材料を使用した一連の問題は、物件施工当時社長であった創業者の深山佑助氏による指示によるもので組織的に不正を行っていたことを指摘しています。
加えて、施工不備の問題が発覚したのは、あたかも最近知ったような経営陣の素振りでしたが、全棟調査以前から把握していたと否定したのです。
責任を転嫁された創業者は、現社長である深山英世さんの叔父にあたる人物です。
2006年に不正会計で入居者から集めた約48億円を私的に流用したことで引責辞任しました。
辞任翌年の2007年には、フォーブスが発表していた日本の純資産ランキングで35位(936億円)に入っています。
今でも相当な資産があるはずなので、資産を凍結してオーナーや入居者へ損害を補填するべきだと思うのは間違いでしょうか?
泥沼化必至の深山一族ですが外部調査委員会発表当初は、「どうせレオパレス社の息のかかった弁護士が時間をかけて擁護するのでは?」と懐疑的に見ていましたが、かなりいい仕事をされていると思いました。
今後も外部調査委員会による、原因と全容の解明を期待します。
まとめ
真面目に高品質なものづくりをしてきた結果、世界から評価されている日本企業ですが、今年度も多くの不祥事がニュースで流れ、トップが謝罪する事態に追い込まれました。
平成が終わり新たな時代を迎えるにあたって、さまざまな問題点が改めて浮き彫りとなりました。
一連のレオパレスショックは、企業努力という言葉を履き違え、利益至上主義がもたらした結果といえます。
法令順守が叫ばれる昨今、ウソを重ね入居者やオーナーそして株主を騙し、人命を軽視しているとしか思えない企業に未来はあるのでしょうか?
「ガイアの夜明け」の放送によって、人生が変わってしまった人が多くいるのは事実ですが、忖度が蔓延している世の中で、数少ない有益な情報を与えてくれる番組であると金井は思います。
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金井
生まれも育ちも仕事も大好きな横浜で人生の大半を過ごす。 地場の建設会社にて施工管理を学ぶ(某有名人宅の新築工事に工事主任として1年間従事)。 同社で不動産の営業、企画にも携わる。 その後、大手不動産会社へ転職し管理と仲介営業を経て2017年に不動産会社を起業。 保有資格:宅地建物取引士、二級建築施工管理技士 |