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分譲マンションには管理組合という組織が存在します。
一戸建てと違い、マンションには自由がないという理由のひとつが、この管理組合です。
マンションに関することは、全員で話し合わなければなりません。
管理組合には入らなければいけないか
まず、分譲マンションに住むことになったら管理組合は入らなければならないかという問題ですが、これは必ず入らなければなりません。
管理組合は区分所有法という法律で義務付けられており、分譲マンションの所有者は組合員に自動的になります。
法律的には、分譲マンションのことを「区分所有建物」といい、その所有者は「区分所有者」といいます。
ただし、 区分所有者は購入者だけなので、賃貸で借りている人や、親からマンションを借りている子供(無償で借りている人)などは組合員にはなりません。
購入者だがそのマンションに住んでいない人は、組合員になります。
管理組合では何をするのか
各住戸は住んでいる人が管理することになります。
住戸の室内は法律用語では「専有部」といい、マンションの専有部以外は「共用部」になります。
共用部は全員の財産です。この共用部の管理を管理組合が行います。
分譲マンションでは、管理費や修繕積立金が毎月かかりますよね。
マンションの共用廊下やエレベーター、エントランスは共用部なので、維持管理には、この管理費や修繕積立金で集めたお金を使います。
この使い道を決めるのも管理組合なのです。
現在は、住戸ごとの面積に応じて、広い部屋を所有しているほど、高い管理費や修繕積立金を負担する方法になっていますが、昔のマンションでは、部屋の広さに関わらず全住戸一律というところも一部あります。
マンションはおよそ12年か13年周期で大規模な修繕工事を行います。
足場を組み、建物が覆われる街中でもたまに見る工事のことです。
大規模修繕には、外壁の塗り替えや洗浄も含まれるので、見た目にもリニューアルしたのが一目瞭然です。
この大規模修繕では、多額のお金を一度に使うことになるので、管理組合でよく話し合う必要が出てきます。
請負工事として1社の業者と契約することが多いのですが、相見積もりで比較をしたいときは、管理組合がより主体的に動く必要があります。
また、よく勘違いされるのが、管理は管理会社がやっているということです。
確かに実務的に、日常の清掃をしたりはしますが、管理組合からの委託を受けて、管理会社が管理を行っているにすぎません。
自主管理といわれる管理会社を使わない管理形態もありますが、 管理会社を使っていても、主体は管理組合にあります。
どんな管理にするか、どこにいくらお金を掛けて修繕するか、すべての決定権は所有者である管理組合の全員が決定権を持っているのです。
そのため、管理の内容や金額に納得がいかない場合は、管理組合の意思で管理会社を変えることもできるのです。
管理会社を変えることをリプレイスと言います。
新築時にはデベロッパーと管理会社が一体となり、管理規約や管理の内容を決めるので、最初に決められた内容から変更を加えるのはハードルが高くなりがちですが、管理組合で意見がまとまれば変えることができます。
管理会社の種類
管理会社にはデベロッパー系と独立系の2種類があります。
デベロッパー系はマンションを建てている事業主の子会社の管理会社のことです。
デベロッパー系でイメージしやすいのは、財閥系のマンションには、同じ財閥系の名前のついた管理会社が新築時から、管理をしているパターンです。
一方、親会社がないような管理会社は独立系と言われます。
デベロッパー系はマンションを親会社が建てる度に仕事が増えますが、独立系はそういったことがないので、リプレイスで管理物件を増やしていくのが特徴です。
リプレイスの営業でよくあるのが、「管理費が安くなる!」というものですね。
管理費が安くなれば管理組合としても嬉しいので、変えた方がいいのかなと考えるキッカケになりますよね。
管理費の中でも大きいのは、管理人を雇うための人件費なので、リプレイスの営業で提案されるものは、現状の管理の内容と違うものになっていたりします。
総会とは
管理組合が行う行事として、義務づけられているのは、年一回の総会です。
これは事前に告知をして、区分所有者全員で行われます。
マンションによっても出席率は異なりますが、告知の際に出欠表が配られますので、実際には委任状で、欠席の人も多いです。
およそ1時間から2時間くらいで通常の総会は終わりますが、審議の内容や組合員同士が対立してしまう管理組合は時間がかかることもあります。
総会が開始される時期は、およそ決算月から2ヶ月後くらいに行われることが多いです。
前の年の収支状況の報告が行われる場でもあります。
もし緊急に話し合いの場が必要になったときは、臨時総会として別途開催されることもあります。
マンション内の決めごとや問題点は総会において賛否を問います。
例えば、管理規約を変えたらどうか、古くなった設備を一新したらどうか、などさまざまな議題が上がります。
そして議題によって、決議に必要な条件は変わってきます。
決議には「議決権の数」と「区分所有者の数」の両方を満たす必要があります。
議決権とは、一住戸一議決権としていたり、専有面積(住戸の広さ)に応じるとしていることもあります。
専有面積に応じるというのは、例えば100㎡の住戸を持っている人は、60㎡の住戸を持っている人よりも議決権において権利が大きくなることです。
大きな住戸の所有者は、管理費の負担も多いが、権利も多く持っているということですね。
議案は過半数で決議ができるものもありますが、建て替え決議は全員組合員の議決権と区分所有者の数の5分の4以上が必要なので最も成立要件が厳しいです。
マンションを建て替えることは重大な決議なので、 80%以上の賛成がなければ決定できない ということです。
議案によっては過半数で決議できるが、建て替え決議は全員組合員の議決権と区分所有者の数の5分の4以上が必要。
他には、普通決議といわれる予算案の決議は、総会の出席者の議決権と区分所有者数の過半数で成立します。
普通決議といわれるものは、成立要件のハードルが低くなっており、いわゆる多数決で決まります。
マンションの収支の状況や、修繕の方針を決める総会は大切な会です。
しかし、参加できるのは組合員だけなので、賃貸で借りている人は参加できません。
利害関係のある審議があるときには意見が述べられますが、議決権は持ちません。
総会においての司会進行は、理事長などの役員が担います。
管理会社が進行を補助することもありますが、それはあくまでサポートという形です。
総会は組合員全員の意見交換の場であり、主体となるのは組合員です。
交代制で役員を務める
管理組合はマンションを所有する全員で構成される団体です。
日常的に総会を開くことは難しいので、一部の区分所有者は役員という形で理事会を組織します。
一般的には、理事長・理事・会計・監事といった役職があります。マンションによって副理事がいたり、細かくは異なります。
理事長はマンションの代表者となります。管理会社は代表者ではありません。
あくまで委託されているにすぎないからです。
役員の選任方法は立候補がない場合は、輪番制であらかじめ部屋番号順に役員が回るようにしているマンションが多いです。
任期は1年であったり、2年であったり、2年任期で1年ごとに半数を改選するなど、マンションによってさまざまです。
実務的な出納業務は管理会社が行いますので、役員になるからといって、マンションすべてのお金を動かせるわけではありません。
管理会社や役員がマンションのお金を着服する事件は度々起こっており、通帳の管理など、金銭の扱いは規制がその度に厳しくなっています。
理事会は参加人数も少ないことから、マンションによっては月1回の定例理事会を行うところもあります。
大きな決めごとは総会で決議を取りますが、細かな決めごとは理事会や理事長に一任されます。
例えば、専有部のリフォームには届け出が必要ですが、この届け出は理事会や理事長の承認で済むことが多いです。
総会で大まかな方針を決めて、細かい点は理事会に一任するという結論になることもあります。
理事会の役員は総会で選任される形になるので、輪番制とはいえ、役員は全員で決めるものという位置付けです。
soraki
宅地建物取引士を取得し、ディベロッパーのマンション営業として企画、集客、顧客の住宅ローンの審査まで幅広く携わる。 新築分譲マンションのモデルルームでの接客をしながら、審査の通りにくい顧客にも対応し、住宅ローンを提案。 その後、マンション管理会社に転職し、フロント営業となる。修繕の提案や長期修繕計画の作成など、管理業務主任者として分譲マンションの管理組合運営に関わる。 |